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どこの世界にも平気で悪口を言う人っているよね

「では、殿下、クラスルームまでは普通科の講師がお送りします」


「うん。学長、ありがとう。ドラゴンの事、よろしくね」


 群馬の学校とは造りが違うアカデミーの廊下を落ち着いた雰囲気の女性講師と進むと立派な扉の前に案内される。

 

 うわあぁ!

 すごく大きい扉だね。

 さすが貴族の為に建てられたアカデミーだね。

 普通科には貴族しかいないからね。

 気を引き締めていかないと。

 朝の騒ぎが噂になっているだろうから、とんでもない嘘つきだと思われているだろうね。

 はぁ……

 気が重いな。

 アンジェリカちゃんかココちゃんがいてくれればいいけど……

 普通科は三クラスあるからなぁ。

 さすがに『二人と同じクラスにして』なんて言えないからね。

 うぅ……

 ドキドキするよ。


「殿下、中へどうぞ」


「あ……はい」


 さすがに敬語がいいよね?

 

 中に入ると……貴族の人間達の視線が痛い。

 うーん。

 アンジェリカちゃんとココちゃんはいないみたいだ。

 昨日の貴族の坊っちゃんもいないね。

 

「殿下、自己紹介をお願いいたします」


 先生は淑女の鑑みたいだね。


「はい……」


 あぁ……

 緊張する。

 久々の学校だよ。

 しかも朝の事があるから気まずいし。


「はじめまして。わたくしは黄金の国ニホンの第一王女です。ニホンでは国外に名を隠す風習があります。わたくしの事は『ペリドット』とお呼びください」


 よし、これでいいだろう。

 練習したからなんとか上手くいったね。

『ペリドット』は仮名っていう事にすれば、『ぺるみ』『ペルセポネ』『ルゥ』どれで呼ばれて返事をしてもごまかせるからね。


「(王女? 今朝のドラゴンの?)」

「(ぬいぐるみを抱っこしているの?)」

「(今日のお迎えはドラゴンらしいわよ? クスクス)」


 おぉ……

 やっぱりそうなるよね。

 とんでもない嘘つきだと思われているよ。

 まぁ、群馬で『わたし今日はドラゴンに乗って帰るんだっ! 』なんて話す人がいたらわたしだって頭大丈夫かな? って思っていたはずだよ……


「では、殿下は窓際の一番後ろの席にお願いいたします」


「……はい」


 あぁ……

 人間達の視線が痛い。

 

「(クスッ。おばあさんみたいな白髪ね)」


 ……?

 白髪?

 わたしの髪の事かな?

 さっきから同じ女の子の声の悪口が大量に聞こえてくるね。


「(……ぺるみ、黙ってやられてるのか? やり返せよ)」


 ベリアルが心配してくれているね。

 しかも、気を遣って小声で話しているよ?

 くぅぅ!

 かわいいっ!


「(大丈夫。初日なんてこんなもんだよ?)」


「(やだ、ぬいぐるみ相手に話しているわ? 友達がいなくて寂しいのね。クスクス)」


 ん?

 また、さっきの声だね?

 うーん。

 性格が悪いのかな?

 将来が心配になるね。

 貴族の令嬢だから甘やかされて育ったんだろうね。

 でも、貴族として育ったのなら身分の決まり事は守らないと。

 自分より身分の高い相手には先に話しかけてはいけないし、聞こえるように悪口を言うなんて絶対に赦されない罪だからね。

 どう見てもこの子は王女じゃなさそうだから、一応王女設定のわたしにこの不敬はあり得ないよ。

 

 窓際の後ろの席の手前に着くと窓に背を向ける。


 今日は晴天で窓際には日が差し込んでいるからね。

 わたしの髪は日陰では白く見えるけど日向だと……


「うわあぁ……綺麗」

「キラキラしているわ?」

「水面の輝きのようね……」


 ふふふ……

 その通りだよ!

 天族でもこの髪は珍しいんだから!

 これで、髪の悪口は言えないね。

 参ったか!

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