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ベリアルは見た目はかわいいヒヨコちゃんだけどそれだけじゃないんだから!

「じゃあ、わたしはアカデミーに行くね? ドラゴンが来ても皆の事は襲わないから怖がらないでね?」


「うん! 姉ちゃん、帰りに市場に来てくれる?」


 この男の子は本当にかわいいね。


「もちろん! 男の子のお店のクッキーをもう一度食べたかったんだ」


「え? 男の子? オレの事?」


「あ……」


 ずっと魔族と一緒にいたから名前で呼ばない癖がついていたのか。

 人間は従魔にならないから名前で呼んでも平気なんだね。


「オレの名前、教えてなかったね。ジャックっていうんだ」


「ジャック? かっこいい響きだね」


「かっこいい? えへへ」


「ふふ。ジャックはかわいいね。じゃあまたあとでね?」


「うん! 意地悪な貴族に負けないでね!」


「意地悪な貴族か……うん。頑張るね!」


 ふふ。

 心配してくれるなんて、優しいんだね。

 よし!

 頑張ってココちゃんとアンジェリカちゃんを守りながら闇の力を使う人間を捜そう。

 それと、今日は神官の事もあるし……

 忙しくなりそうだね。


「帰りはドラゴンですから馬車はアカデミーに置いたままに?」


 公爵の言う通りだね。

 さすがに黄金でできた馬を置いてはいけないよね。

 

「それなら、あとでオレが空間移動で持って行ってやるよ」


 あぁ……

 なんてかわいいヒヨコちゃんなの?

 くちばしの周りがクッキーまみれになっているよ。

 

「ありがとう。助かるよ」


「やっぱり、あとだと忘れちゃうから今持って行くか。じいちゃん、クッキーうまかったよ」


「ヒヨコ様に喜んでいただけて光栄です」


 公爵はベリアルにメロメロだね。

 赤ちゃん用のレースのついたボンネットを被っているからいつもよりかわいさが増しているんだよね。

 もう、最高にかわいいよ!


「ぺるみはちょっと待ってろ」


 ベリアルが空間移動すると目が開けていられないくらい眩しくなる。


「皆、目を閉じろ!」


 おお。

 さすが市場の相談役だね。

 昨日は何度も目が痛くなったからね。


 目を開けると馬車とベリアルが消えている。

 ベリアルは今はかわいいヒヨコちゃんの姿だけどさすがは天族だよね。

 わたしはまだ空間移動するのが不安だからね。

 尊敬しちゃうよ。


「ヒヨコ様……さすがは神様が授けてくださった聖獣だ……」


 公爵の瞳がキラキラしているね。

 本当にベリアルが大好きなんだね。

 さっきもこっそり吸っていたし。

 昨日お母様の匂いがするって言っていたし、やっぱり公爵はお母様が好きなのかな?

 他の人間達は大きい馬車が突然消えた事に驚いているね。


「公爵がヒヨコちゃんを大切にしてくれて、神様も嬉しいだろうね」


「え? 神様がですか?」


「ヒヨコちゃんはニホンでも皆から大切にされているの。皆の赤ちゃんみたいなんだよ? 何をしてもかわいいの」


「そうですなぁ。ヒヨコ様は愛らしく、お菓子を食べる姿は……ああ! 眩しい!」


 公爵……ベリアルのかわいさを語るのに夢中で油断したね。

 ベリアルは、もう帰ってきたんだね。

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