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知らない人間から見ればわたしって嘘つきの痛い奴だよね

「そうだね。ドラゴンに迎えに来てもらう事にするよ。そうだ、他の王様達から返信は?」


 昨日の今日だけど、王様達はわたしの事をルゥだって気づいているはずだよね。

 ドラゴンと暮らす少女なんてわたし以外にあり得ないからね。


「ぜひ神聖物のお披露目に参加したいと。それから、ヒヨコ様に送迎を頼みたいそうです」


 公爵がベリアルをうっとり見つめながら話しているね。

『ヒヨコ様に送迎』か。

 王様達はベリアルを知っているからね。

 完全にわたしがルゥだって分かっているみたいだね。


「ふふ。王様達は空間移動を失敗したらどうなるか知っているのかな?」


「はい。『このような機会はそうあるものではないのでぜひに』との事でした」


「そうなんだね。ヒヨコちゃん、あとで空間移動をお願いできるかな?」


 空間移動は神様のペットのヒヨコちゃんにしかできない事になっているからね。


「任せとけ! モグモグ」


 ん?

 公爵に抱っこされているベリアルが何か食べているね。

 ……!?

 あれは……

 ヒヨコちゃんのベリアルにも食べやすいサイズの細長いクッキー!?

 きっと公爵がベリアル用に作らせたんだ。

 赤ちゃん用の帽子のボンネットを被ったヒヨコちゃんが一心不乱にクッキーを食べている。

 くぅぅ!

 最高にかわいいよ!

 アカデミーの前に集まっている人間達もベリアルのかわいさにメロメロになっている。

 あぁ、そうだ。

 いきなりドラゴンが現れたら皆が驚くだろうから先に話しておかないとね。


「あのね? 皆に大切な話があるの。今日のアカデミーのお迎えにドラゴンが来るんだけど、皆を襲ったりしないから安心してね?」


「え? 本当にドラゴンの家族がいるのか?」

「いや……まさか……」

「でも嘘をついているようには見えないし……」


 うーん。

 やっぱり昨日市場にいなかった人間には信じられないか。


「嘘ではない。このお方は決して嘘などつかないのだ!」

「そうだよ! 姉ちゃんはすごいんだから!」

「今日の昼過ぎになれば本当だと分かるさ!」


 昨日市場にいた人間はわたしを聖女のルゥだったって知っているからね。


「市場の相談役のおじいちゃん。このままだと市場の人間関係が悪くなっちゃいそうだから、あとで市場の皆に昨日の事を話してくれないかな?」


「よろしいのですか?」


「うん。わたしのせいで皆が言い合いになるのは嫌だから。それにドラゴンが来る事を疑っている状態でいきなりドラゴンが来たら驚いて怪我をするかもしれないでしょ?」


「なんと……そこまで我らの事を……ありがとうございます。感謝で胸がいっぱいです。涙が止まりません。うぅ……」


「え? そんな……泣かないで?」


「思い出したのです。うぅ……今の陛下のおじい様が陛下だった時……『幸せは民と共に感じたい』と我らの事をそれは気にかけてくださいました。今の姫様のお姿が重なって……」


「立派な王様だったんだね」


「はい。リコリス王国の民である事を誇りに思えるような素晴らしい陛下でした」


「そっか……」


 きっとお兄様もそう言ってもらえる立派な王様になるんだろうね。

 ルゥのおじい様か。

 亡くなった後まで民に慕われているなんてすごいね。

 

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