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わたしってベリアルを吸うか撫で回す事しか考えていない変態だって思われていたんだね

 それにしても、空間移動で校内に一瞬で入れるのに馬車で登校するのか。

 黄金の国ニホンの財力を見せつける為らしいけど、黄金でできた作り物の馬なんて普通あり得ないからね。

 しかも御者もいない馬車だし。

 そりゃ、馬車の後ろから人間達がゾロゾロ付いてくるわけだよ……

 馬車の窓のカーテンの隙間から覗いたらパレードみたいに人間達が付いてきていて恥ずかしくなっちゃったよ。

 

 もうすぐアカデミーの門だけど……

 ベリス王に言われたんだよね。

 門の外で一度馬車から降りてわたしの姿を見せた方がいいって。

 こんな黄金の馬車なんて珍しいから絶対に平民が歩いて付いてくるはず。

 ゆっくり馬車で進んで、なるべく多くの平民をアカデミー前に集めるようにして、昨日市場にいなかった平民にもわたしの存在を見せておく……か。

 魔族の話だと、昨日市場にいた平民達はわたしの存在を隠そうとしているらしい。

 わたしが『お兄様にはまだ秘密にしたい』って言ったからかな?

 でも『聖女が蘇った事を平民の噂話として貴族やお兄様の耳に入れる』っていうのがわたし達の考えなんだよね。

 気を遣って内緒にしてくれているのに申し訳ないけど、馬車から降りたら魔術で雪を降らせる事になっているんだ。

『神様から授けられたヒヨコを連れた少女が雪を降らせた』

 この不思議な光景に蓋をする事はできない。

 もちろん貴族も見ているだろうから、あっという間にリコリス王国中に伝わるだろう。

 他の三大国にも公爵から昨日のうちに『神から聖獣を授かった少女が神聖物を偽物だと言っている』って手紙を出してもらっているはずだから。

 なるべく早くその少女の存在を公にする必要があるんだ。

 その手紙を送るにはお兄様の許可が必要だからお兄様はもうわたしが来たって気づいてくれたかな?

 

 はぁ……

 やっぱり馬車から降りるのは恥ずかしいよ。

 

「ベリアル……わたし、よだれとか鼻血とか出ていないよね?」


 心配になってきちゃったよ。


「ん? 平気だぞ? 今のところはな?」


 良かった。

 うぅ……

 人間とは関わってこなかったから緊張するよ。


「はぁ……うまくいくかな? ドキドキして失敗しないかな?」


「大丈夫だ。ぺるみは普段は変態だけどやる時はやるからな。落ち着け。ドキドキが速いぞ?」


 ベリアルは抱っこされているから、わたしの胸の音が近くで聞こえているんだね。


「ありがとう。あの……ちょっとお願いが……」


 一秒だけ吸わせて欲しいよ。

 かわいいヒヨコちゃんに癒されたいよ。


「ダメだ!」


「え? まだ何も言っていないよ?」

 

「お前の事だから一秒だけ吸わせろとか言うんだろ? 絶対ダメだ!」


 ……!?

 まさかベリアルにもわたしの心の声が聞こえているの!?


「……ベリアル、どうして分かったの!?」


「お前が言う事なんて『吸わせろ』か『撫で回させろ』だからな! この変態が!」


 ……なるほど。

 恥ずかしいくらいにその通りだよ。

 

「あ……馬車が止まったね」


「アカデミーの門に着いたって事だな」


 久々の学生生活がついに始まるのか。

 でもその前に、皆の前で雪を降らせないとね。

 緊張するけど頑張るよ!


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