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父親が少しエッチな下着を触る為に古典的な罠にかかる姿を見る娘の心境

「はぁぁ。なんとかヘラちゃんを撒いたよ。あれ? 皆は?」


 お父様が広場に入ってきたね。

 いつも皆は広場に集まっているから、誰もいない広場を不審に思うはずだよ?

 さすがに少しエッチな下着を触る為に古典的な罠にはかからないよね?

 信じているよ、お父様。


「あれぇ? なんだろう? 大きいかごが逆さまに……? ん? 中に何かあるね?」


 あぁ……お父様……お願いだから下着を触る為にかごの下に入り込まないで!

 あぁ……

 それ以上はダメ!


「んん? これは……んふふ。誰の下着かなぁ? もうっ! けしからんなぁ。こんな透け透けで……んふふ」


 ダメ!

 それ以上下着に近づかないで!


「そぉれ! 今だ!」


 あぁ……

 吉田のおじいちゃんが罠を発動させる紐を引っ張ったよ……

 すごく嬉しそうだね。

 今日一番の笑顔だ……


「うわあぁ! 何? 何なの?」


 お父様……

 わたしはお父様の娘である事が恥ずかしいよ。

 まさか下着を触る為にこんな罠にかかるなんて……


「あら? 誰もいないわ? おかしいわね?」


 しまった!

 ヘラが来ちゃったよ!

 どうしよう。

 お父様がそこにいる事がばれたら……

 命の危機だよ!?

 お父様、お願いだから声を出さないで!


「うわあぁん! 誰か助けてぇ!」


 お父様!

 本当に間が悪いんだから!


「え? ゼウス? まさかこの中にいるの?」


「うわあぁん! って、え? ヘラちゃん!? あわわわ!」


 あわわわ!?

 実際に言う人を初めて見たよ!?

 しかも自分の父親なんて……


「ゼウス……まさかこんな所に隠れていたなんて……もう逃がさないわよ?」

 

 あぁ……

 今、お父様は少しエッチな下着を握っているはず……

 終わったね……

 助けようがないよ。


「うわあぁん! 待って! 違うのぉぉ!」


 ……これが父親なんて、複雑な気持ちだよ。


「何が違うのよ!?」


 あぁ……

 ヘラがかごを持ち上げたね。

 やっぱり手には少しエッチな下着を握っているよ。


「あわわわ! 違うの! ヘラちゃん! 誤解なの!」


「この状況でよくそんな事が言えたわね!? 赦さないわよ!」


 どうしよう……

 本当に今日がお父様の最期の日になっちゃうよ。


「まあ、待てヘラ。天ちゃんは群馬に行ってその下着をヘラの為に買ってきたんだ。なぁ? 天ちゃん」


 おお!

 隠れていた吉田のおじいちゃんがいつの間にか出てきているよ。

 そういえば困った時にはいつも助けてくれるよね。


「え? あぁ……えっと……」


 お父様、話を合わせないといけないのに。


「そうなの? わたしの為にわざわざグンマに行ってきてくれたの?」


「えっと……うん」


「ゼウス……わたしの為に? 嬉しい……」


「えっと……うん」


「もしかして、ペルセポネの下着を触っていたのは……わたしの下着を選ぶ参考にしていたの?」


「えっと……うん」


「嬉しい……疑ってごめんね? 大好きよ?」


「えっと……うん」


 おお……

 イチャイチャしだしたね。

 これ以上は見ていられないよ。


「ぷはっ! いやぁ、良かった良かった。なぁ、ぺるぺる。あははは!」


 はぁ……

 吉田のおじいちゃんのお陰でなんとか助かったよ。

 でも元はと言えば吉田のおじいちゃんが、お父様に少しエッチな下着を買ってこさせたんだよね?

 今朝も『今すぐ洗って干しておけ』って言ってあの朝の忙しい中、洗濯させられたんだよ。

 もしかして吉田のおじいちゃんは未来が見えている……?

 魔族に充電させる為にこんな茶番を?

 いや、まさかそんな事は……ないよね?


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