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ファルズフとペルセポネ~後編~

今回はベリアルが主役です。

「ペルセポネが亡くなった後も、不審な点があったファルズフの軟禁は続いていたの。でも……まさか軟禁場所から抜け出して第三地区の人達を傷つけるなんて。それからは軟禁ではなく監禁になったのだけど、そこからも抜け出してハデスのいない冥界で、水晶に入れたペルセポネと過ごしていたのね」


 主治医はどうして、そんなに歪んでいたんだ?

 ……ヨータを勇者にして傷つけたオレが言える事じゃないか。


「そういえば……第三地区で捕らえられた時にファルズフが呟いていたわね?」


 呟いていた?

 何を?


「わたしのかわいいペルセポネの口からあんな汚い言葉が出るなんて。全部冥界に連れ去られたせいだ……みたいな事だったわ?」


 ……?

 汚い言葉?

 あのかわいいペルセポネ様が?


「確か……クソヤロー……? だったかしら?」


 え?

 それって……

 あの時オレが教えた言葉?


「でも……ハデスは言葉づかいは丁寧でしょ? ケルベロスもそんな口はきかないし……一体誰が教えたのかしら?」


 ……!

 ペルセポネ様……

 まさか……

 最期の時に勇気を出して主治医に言ったのか?

 幼い頃からただ耐え続けていた相手に……

 

 頑張ったのですね……

 よく頑張りました。

 

 ダメだ。

 涙が……

 ん?


「スーハー……」


 んん!?

 この生ぬるい、吸われる感じは……


「えへへ。ベリアル……スーハースーハー……」


 ……!?

 いつの間にか抱き上げられて吸われている!?

 くっ!

 ぺるみはオレを吸う為に最近気配を消せるようになったからな。

 もう、第三地区から天界に来る時間になったのか。


「あらあら、ペルセポネはご機嫌ね」


 デメテルがぺるみの髪を撫でる。


「お母様の宮殿に行ったら留守だったから、お父様の執務室かなって思って。スーハー」


「ふふふ。久しぶりの天界はどう?」


「うんっ! すごく楽しいよっ! スーハー」


 そうか……

 良かった。

 もうぺるみを苦しめるファルズフもいないから。

 安心して過ごせるだろう。


 って、おい!

 こいつ、いつまで吸ってるんだ!?

 こんなところをハデスに見られたら……

 ハデスは嫉妬心の塊みたいな奴だからな。


「おい……ハデスが怒って……」


「え? ハデスならウリエルと話があるからってここには、いないよ?」


 ん?

 ウリエルに?

 あいつら、仲良かったか?

 ……まさか、ペルセポネ様の幼女時代の精巧な人形を見に行っている、なんて事はないよな?

 ハデスはずっと冥界にいてペルセポネ様の幼い頃の姿は知らないから、眺めて大興奮……なんて……

 いや、まさかな。

 

 ん?

 なんだ?

 血の臭い?

 

「って! おい! ぺるみ! 鼻血鼻血!」


「え? やだなぁ。わたし鼻血なんて出していないよ?」


「出てるんだよお! うわあぁ! 誰か助けてえぇぇ!」


 ペルセポネ様が元気になってくれて嬉しいけど……

 やっぱり変態はちょっと……

 でも、楽しそうに笑っている姿が見られて本当に良かった。

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