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ルゥの母親の秘密

「あの子の娘は女の子を産んだ。それからその産まれた子も女の子を産んだ。長い年月をかけてあの子の血を受け継ぐ人間が増えていった。そして『血を受け継ぐ女の子が産んだ子』だけが次の世代に神力を受け継がせる事ができたようだった。その辺りはじいちゃんにはよく分からねぇけどなぁ。時代が変わると……人間は魔族を恐れるようになってなぁ。あの子は人間とは暮らせなくなっていった」

 

 吉田のおじいちゃんの話す声が震えているよ。

 おじいちゃんの子供は、人間とも暮らせないし天界にも行けなかったの?  

 じゃあ、ひとりぼっちで暮らしていたの?

 長い時間を……?

 寂しかっただろうね。


「じいちゃんは……魔族の姿になってずっとあの子の側にいた。友として……父親だなんて言えなかった。『お前を醜いから捨てた』なんて絶対に言えなかった」


「おじいちゃん……」


 ……?

 心が……苦しい?

 心臓が握られているみたいに痛い……


「それから……初めて魔族同士の大きな争いが起きた。大勢の魔族が死に魔素が大量に発生した。天族のあの子はそれに耐えられなくてなぁ……『安全な場所があるから』と天界に連れて行こうとしたが断られたんだ。『自分の家族がいるこの場所で死にたい』と言われてなぁ」


「そんな……」


「でもあの子は両親共天族だからなぁ。死ねば冥界に行く事になる。あの頃の冥界は今とは違って怖い所でなぁ。じいちゃんは絶対にそこには行かせたくなかったんだ」


「自害……させたの?」


「ああ……魔素で苦しむあの子を眠らせて……」


「ごめん……辛い事を思い出させて……ごめん」


「いや……悪いのはじいちゃんなんだ。あの子をずっと手元に置いておけばなぁ……だからポセイドンにも分かって欲しいんだ。ポセイドンとその息子はまだやり直せるはずだからなぁ」


 魚族長の事だね。

 だからおじいちゃんはポセイドンにあんな事を……


「長い年月が経ちいつの間にか魔族は優しく規律正しくなっていった。そして、人間は……もちろん優しい人間もいるが今の貴族優位社会にはうんざりだ。平民は人じゃねぇなんてなぁ」


「……うん」


「ぺるぺるは聖女が一定の周期で産まれる理由を知ってるか?」


「分からないよ? でも、ココちゃんのおばあさんもルゥの母親も……ってあれ? 母親が神力を持っていないと神力は受け継げないんだよね? おかしいよ。ルゥの母親であるおばあ様は神力を持っていないよ?」


「それは……デメテルちゃんから話すか?」


「……はい。実はね……ココちゃんのおばあさんは子を二人産んでいたの。一人は海賊の島にいるココちゃんの父親よ? そしてもう一人は……ルゥの母親だったの」


「え? どういう事?」


「ココちゃんのおばあさんは神力を奪われた後、神力が無い状態で息子を産んだの。数年後、神力が少し回復してきた時にルゥの母親を身ごもったの」


「じゃあ……どうしてルゥの母親はシャムロックにいたの?」


 何がどうなっているの?

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