知らなかったおじいちゃんの過去の姿
「吉田のおじいちゃん？ そうか、この『人間と魔族の世界』はおじいちゃんが創ったんだよね」
「そうだなぁ。じいちゃんが神だった頃……じいちゃんは悪い奴だったんだ」
「え？ おじいちゃんが？」
「……じいちゃんは自分の子が化け物みてぇな姿で産まれた事に耐えられなくてなぁ。その子をもう見たくなくてこの世界を創ったんだ。『翼を持たない弱い存在の人間』『魔力を持つ強い存在の魔族』の共存する世界。じいちゃんの子は魔族側に入ったんだ。どう見ても人間には見えなかったからなぁ。その頃は子孫繁栄の実が無くても異種族同士で子が産まれたんだ。それは自分の種族を増やしたい魔族にとって好都合でなぁ。弱い人間は無理矢理、子を産まされていたんだ」
「それでおじいちゃんは子孫繁栄の実を作ったの？」
「そうだ。無理矢理魔族の子を産まされて命を落とす人間もいたんだ。子孫繁栄の実ができてからは、異種族の間に望まぬ子ができなくなった。じいちゃんがそう操作したんだ」
「……？ でも、その話と神力を持つ人間の話は関係があるの？ まさか……おじいちゃんの子供と人間との間に産まれた赤ちゃんに神力があったの？」
「……ぺるぺるは本当に頭がいいなぁ。その通りだ。つまりルゥもヘリオスもじいちゃんの子孫ってわけだ」
「おじいちゃん……わたし……ずっと考えていたの。お父様もお母様もおじいちゃんの思い通りに動かされていたんじゃないかって。もちろん、今のわたしも天界にいたペルセポネだった頃のわたしも……おじいちゃんはどうしてこの世界に人間と魔族を創りだしたの？ 魔族だけ創るだけでも良かったんじゃない？」
「……じいちゃんはなぁ、見てみたかったんだ。化け物みてぇな見た目のじいちゃんの子が心も醜いところをなぁ」
「……え？ おじいちゃん？ それはどういう事？」
「じいちゃんは……自分が間違えてなかったと自分に言い聞かせたかったんだ。あれは化け物だから天界から追い出したって……自分の罪を正当化しようとしたんだ」
「……おじいちゃん」
「ぺるぺるはじいちゃんを嫌いになったか？ いや、違うなぁ。じいちゃんの事は……ずっと嫌いだろう？」
「そんな事ないよ！ 前にも話したけどおじいちゃんの事はお父さんみたいに思っていたんだよ？」
群馬にいた時にどれだけ心強かったか……
「ぺるぺる……ぺるぺるは本当に真っ直ぐだなぁ。清らかに生きてきたぺるぺるはじいちゃんには眩し過ぎる。じいちゃんの心は醜いんだ」
「おじいちゃん……？ まさか……いなくならないよね？ この話をしていなくなったりしないよね？」
「……第三地区で暮らすようになって、じいちゃんは自分の汚さを痛感したんだ。皆綺麗な心を持っていてなぁ。じいちゃんは、さらに惨めな気持ちになった……」
すごく辛そうで心配になるよ……
