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ぺるみ、素敵な友達が欲しくなる

「でも、ヒヨコちゃんは今まで一度も空間移動を失敗した事がないんだよ?」


「『今まで』ですか? (今回は失敗するかもしれないという事か)」


 公爵が怖がるのも当然だよね。


「……怖かったら空間移動をするのはやめようか? 人間からしてみたら怖い事だからね」


 まぁ、わたしの力で生き返らせる事もできるけどそれは秘密にしないとね。


「おもしろそうですね。殿下、一緒に空間移動をしてみましょう? ずっとしてみたかったのです。楽しみですね。ふふ」


 おばあ様は怖くないみたいだね。

 すごく嬉しそうだよ。

 

「カサブランカは怖くないのか?」


「はい。一度、あの光に入って移動してみたかったのです。殿下はあの頃と変わりませんね。怖がりで慎重で、そしてとてもお優しい……そんな殿下をずっと好きでした。ふふ」


「……わたしも、心に蓋をしていたが今になって考えれば、初めて会い花を渡したあの時から……カサブランカに惹かれていたのかもしれないな。あの時、わたしは何とかしてかわいいカサブランカと仲良くなりたいと思ったのだ」


「それは嬉しいです。殿下は部屋でぼんやりしている事が多かったのでとても心配でした。ですからわたくしは殿下とたくさん冒険をしたのです。殿下は太陽の下で金の髪をキラキラと輝かせて、呆れながらもいつもわたくしのする事に付き合ってくださいました」


「カサブランカ……わたしの為に冒険を?」


「殿下が笑顔になってくださるのが嬉しくて……かなり危ない事もありましたが今となっては良い思い出です」


「わたしも覚えている。幼い……初めて会った時のカサブランカはキラキラと輝いてまるで絵本に出てくる妖精のようだった。胸がときめいて……わたしの方が先に恋心を抱いたのかもしれないな」


「ふふ。懐かしいですね。まさかおばあさんになってからまた殿下と冒険できるとは」


「冒険?」


「はい。明後日はヒヨコ様とシャムロックまで冒険するのです! 一瞬で着いてしまうようですが、とても楽しみです。また殿下との楽しい思い出が増えますね」


「……! カサブランカ……わたしは……あれから……リコリス王国に来てからずっと寂しかった。慣れない土地で母上と二人で……辛くて……だが……寂しいわたしの心を支えてくれたのはカサブランカとの思い出だった。ありがとう。わたしの友になってくれて……本当にありがとう」


「ふふ。お互いに同じ思いだったのですね。殿下との思い出の全てがわたくしの宝物でした」


 おばあ様と公爵の関係はすごく素敵だね。

 聞いていてドキドキしたよ。

 甘酸っぱい初恋か……

 お互いに初恋だったのに今日まで打ち明ける事は無かったんだ。

 生まれ育った国が安定していたら二人は結婚していたのかな?

 また違う未来があったのかな?

 今の二人の幸せそうな顔を見るとすごく心が温かくなる。

 

 友達か……

 わたしにも明日からのアカデミー生活で、おばあ様と公爵みたいな素敵な友達ができたらいいな。

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