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ファルズフとペルセポネ~前編~

今回はベリアルが主役です。

 ヒヨコの姿で天界に空間移動して、デメテルの宮殿に行くと……

 留守か。

 じゃあ、ゼウスの執務室にいるはずだ。

 見張っていないと仕事をしないらしいからな。

 空間移動して執務室の前に着くとデメテルの姿が見える。


「デメテル……ちょっといいか?」


「あら、ベリアル? 天界に来るなんて珍しいわね? もう、ペルセポネが来てくれたのかしら?」


「あ……いや、違うんだ。訊きたい事があって」


「……? わたしに? 何かしら?」


「え? まさかデメテルちゃんが好きとかじゃないよね?」


 ゼウス……?

 すごいな。

 書類の山で姿が見えない。

 ブラックドラゴンが神の座を押し付けられたって言っていた意味が分かったよ。


「もう! ゼウスは黙ってて!」


「だってぇぇ……デメテルちゃんは渡さないからねっ!」


 いや……

 そんなんじゃないし……


「そうじゃなくて……あの主治医は、本当に自害したのか?」


「え? ハデスがそう言っていたから、そのはずよ?」


「そうか……なら良かった」


 これでもう、ぺるみが苦しまなくて済む。


「ベリアルはファルズフと知り合いだったかしら?」


「一度話しただけだ。でも……ろくでもない奴なのは知ってる」


「……? そうよ? ペルセポネの病を治す方法は自分しか知らないって言ってね。かなり強い薬を赤ん坊の頃から飲まされていたの」


「そんな危ない薬を飲んでも平気だったのか?」


「幼い頃に危ないからって一度服用をやめさせたの。そうしたら発作を起こしてね? それで仕方なく飲み続けていたのよ?」


「そうだったのか」


「でも……ペルセポネが美しく成長すると、ファルズフは自分のものにしようとしてね。更に強い薬を飲ませて……ペルセポネはぼんやりする事が多くなって。それで、ファルズフを軟禁したの」


 それが、あの時のペルセポネ様がいなくなった時の事かな?


「ファルズフの軟禁中にペルセポネがハデスに連れ去られてね? 一か月程して帰ってくると、冥界のザクロを食べたと知ってね。ファルズフもどこかで聞きつけて面会を要求してきたの。自分ならザクロの呪いを解けるってね?」


 ん?

 今、書類の山の隙間からゼウスの翼がピクッてしたのが見えた?

 もしかして、ゼウスが主治医に話したのか?


「天界の全ての医師に尋ねても、誰も呪いの解き方を知らなくてね。仕方なくわたしがいる時だけって条件で主治医に復帰させたの。そのせいで、あんな事に……」


 ペルセポネ様は主治医に殺害された……

 赤ん坊の頃からずっと苦しめ続けられていた主治医に、今度は歪んだ愛で命まで奪われたのか……

 何の抵抗もできなかったはずだ。

 あの頃のペルセポネ様は息をするのも心配になるほど、弱々しくて儚げで…… 

 今のぺるみは、力は強いし変態だしすぐ鼻血を出して興奮して鼻息は荒いし……

 ん?

 本当に同一人物か?

 違い過ぎるだろう!

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