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友達のおじいちゃんがわたしを見て赤くなると正直気まずい

 中からドアを開けてくれたのは……

 おばあ様の侍女だね。


「ええと……」


 わたしを見て戸惑っているみたいだ。

 どうしよう。


「どうかしたのかしら?」


 おばあ様の角度からだとわたしが見えないんだ。


「突然ごめんね? あの……わたしが……分からないよね?」


 数回しか会っていないし。

 侍女のおばあちゃんには分からないよね?


「いいえ……分かりますとも。分からないはずが……うぅ……」


 おばあちゃんがわたしを見て涙を流している?

 どうして?


「おばあちゃん、泣かないで? どこか痛い?」


「いいえ。嬉しくて……」


「嬉しい? どうして?」


「それは……」


 おばあちゃんが途中まで話すと、おばあ様が歩いてくる。


「あぁ……ルゥちゃんなのね?」


「おばあ様は、わたしが分かるの?」


「もちろんよ。かわいい孫だもの」


「おばあ様……」


 おばあ様の温かい腕に抱きしめられると、甘くて優しい匂いがする。

 気持ちいいな。

 最後に会ってからまだ一週間くらいしか経っていないけど、ずいぶん前の事みたいに感じる。


「さぁ、ルゥちゃん座ってお話ししましょう? ヒヨコ様も……あら? 白いヒヨコ様?」


「あ……うん。さっきのヒヨコちゃんはお風呂に入っているから、ヒヨコちゃんのお友達のヒヨコちゃんに連れてきてもらったの」


 あれ?

 ヒヨコちゃんってしか言っていないような気が……


「まぁ、ふふ。幸せの島にはヒヨコちゃんがたくさんいるのね。かわいいわ」


 ソファーでおばあ様の隣に座ると、優しく髪を撫でてくれる。


「どうして、侍女のおばあちゃんもおばあ様もわたしがルゥだと分かったの?」


「ふふ。年をとるとね、色々な事が分かるようになるの。それに、髪飾りもネックレスもイヤリングも……嬉しいわ? 約束を守ってつけ続けているのね。ふふ」


「うん。ずっとつけているよ? 宝物だから」


「ルゥちゃん……ありがとう」


「わたしこそありがとう。待っていてくれて本当にありがとう。何があったか聞いてくれるかな?」


 今は公爵も侍女のおばあちゃんもいるから、とりあえず神様が身体を授けてくれたっていう作り話をしないとね。

 でも、海賊の魚人族が、わたしが元の身体に戻った事をおばあ様に話してくれてあるから……


 おばあ様の顔を見ると、優しく微笑んで頷いてくれる。

 あぁ……

 察してくれたんだね。

 よし。

 また嘘をつかないとだね。


「公爵にはさっき話したけど……聖女の力を使い果たして亡くなったわたしをかわいそうに思った神様が、新しい身体を授けてくださったの。その身体は魔素に閉ざされていた国の王女『ペリドット』だったの」


 おばあ様はまだこの設定は知らないかな?

 昨日慌てて考えた設定だから。

 でも、もう公爵が話しているかもね。


「ペリドットちゃん……かわいい名ね。青い瞳はルゥちゃんと同じだわ……ヘリオスにはまだ会わないつもりなのね?」


「市場で騒ぎを起こしたし、怪我を治したりしたからもうお兄様の耳に入っているかもしれないね。でも、今はまだ会いには行かないよ? とりあえず、明日からアカデミーに通ってココちゃんとアンジェリカちゃんを守るつもりなの。それでね? ココちゃんに人化した魔族の護衛をつけたいの。もちろん離れた場所から見守ってもらうんだけど」


「今、公爵とその話をしていたの。ありがたいわ。アカデミー内で令嬢が誘拐されたばかりで心配していたの。それに、アンジェリカちゃんを拐おうとした犯人が闇の力で殺害されたでしょう? そうなると人間の護衛では勝ち目がないの」


「闇の力っていうのは、どうして分かったのかな? 誰かが調べたの? 神官かな?」


 お兄様は魔族の魚人族から聞いたから闇の力って分かったんだろうけど、人間には分かるのかな?

 さっき公爵が『人間が闇の力を使った記録が無い』って言っていたし人間には闇の力がどんなものなのか分からないんじゃないかな?


「それはわたしからお話ししましょう」


 公爵が真剣な顔をしてわたしを見つめている。

 ん?

 耳が赤い?

 表情は真剣だけどさすがに耳まではコントロールできないみたいだね。

 確実に過去に見た天族のお母様の姿に重ね合わせているね。

 興奮が隠しきれないんだ。

 うぅ……

 気まずい。

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