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こんな事って……大丈夫なの?

「……本当にわたしは不器用だな」


 ハデスが恥ずかしそうに話しているけど……


「ふふ。わたしが好きなハデスは……不器用で……かわいくて優しいの」


「わたしが、かわいい……?」


「うん。第三地区の皆が出かける前のバナナのくだりは毎回かわいいと思うよ」


「バナナのくだり……?」


「……大好きだよ。今までもこれからもずっとずっと大好き」


「ペルセポネ……」


 ゆっくりハデスの顔が近づいてくる。

 今度こそ口づけを……

 瞳を閉じてハデスの唇を待つ。


 あぁ……

 柔らかいハデスの唇……


 ん?

 濡れている?

 濡れているどころの話じゃないよ?

 ビッショビショだよ!?

 ハデスはどうしちゃったの!?


 閉じていた瞳を開けると……

 

 ……!?

 これは……


「……」 


 ハデスが卵を抱きしめたまま無言で固まっている。

 分かる。

 分かるよ。

 その気持ち。

 だって卵から小さい腕が出てきているんだから!

 しっかりわたしとハデスの間に入り込んで口づけを阻止している……


「ゴミ虫めが! ペルセポネをお前には渡さん!」


 うわ……

 絶対にうさちゃんだよ。

 間違いない!

 でも話し方が、なめらかになっている?

 聖獣特有の話し方じゃなくなったんだね。 

 

 ついに卵から孵るんだ。

 でも、一週間で孵るなんて早過ぎないかな?

 ちゃんと卵の中で成長できたのかな?


「うさちゃん……わたしだよ。ペルセポネだよ。あぁ……良かった。元気そうで良かった」


「ペルセポネ……会いたかった。ずっと会いたかった。毎日卵の中に話しかけてくれる声が心地良かった」


「聞こえていたんだね。うさちゃん……早く抱きしめさせて」


「……そうしたいが」


「どうかしたの?」


「……いや、卵を割るのが少し早かったようだ」


「え? それって大丈夫なの?」


「……このままでは転がれないな。転がりながら移動する時に腕が邪魔になる」


「じゃあ、両足と両腕を卵から出してみたらどうだ?」


 ……!?

 この声は……


「吉田のおじいちゃん!?」


 いつの間に……


「ははは。かわいい声が聞こえてきたからなぁ」


 かわいい声?

 心の声の事?


「おじいちゃん……卵から両足と両腕を出すなんて、そんな卵人間みたいなのは嫌だよ。でも、殻が割れているのにまだ中にいて大丈夫なの?」


「うーん……ぺるぺるとハデスちゃんが仲良くしてる声に嫉妬して慌てて卵を割っちまったみてぇだなぁ」


「これって良くない事なの?」


「うーん……とりあえず、第三地区にいるお月ちゃんに見てもらうか」


「……うん。心配だよ。このまま病気になったりしないよね? あぁ……大丈夫かな? あれ? そういえばオケアノスの声が聞こえないけど……」


 まさか……

 卵を割る時にうさちゃんの腕がぶつかって気絶させたとかじゃないよね!?

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