『うさちゃんがお昼寝する島』と大量の贈り物
「大好きな両親の穏やかな声を聞けば、子供だって穏やかな気持ちになるもんだ」
おばあちゃんが言うならそうなんだろうけど……
穏やかな声って?
「……なるほど。では……うーん? 何を話せばよいのか……」
ハデスが真剣に悩んでいるみたいだ。
こういうところは純粋ですごくかわいいんだよね。
「だったら、じいちゃんと一緒にふんどし踊りを……モガガ……」
吉田のおじいちゃん……
話の途中でおばあちゃんに口を塞がれたね。
「晴太郎の事は気にしなくていいぞ。ハデスちゃんとぺるみと卵で昼寝してくればいい」
おばあちゃんが、おじいちゃんの口を塞ぎながら話しているけど……
おじいちゃんは嬉しそうだね。
おばあちゃんの事を好きな気持ちが伝わってくるよ。
でも鼻まで塞いでいるけど大丈夫かな?
創り物の身体だから大丈夫だよね?
「うん! ハデス。一緒にうさちゃんのベットでお昼寝しようよ」
「子うさぎが卵に入る前は、わたしとペルセポネが寝ていると間に割り込んできたな……つい最近の事なのに懐かしく感じる……」
「うん。それで、いつもケンカになっていたよね」
「子うさぎ……すぐに苦しみから解放するからな」
ハデスはうさちゃんの事がかわいくて堪らないみたいだね。
「オケアノスも、ずっと起きていたら身体に悪い。パパとママで温めるから安心して早く眠るのだ……」
ふふ。
オケアノスにも優しくしてくれるんだ。
不器用だけど優しいハデスが大好きだよ。
こうして卵を寝かせる為に『うさちゃんがお昼寝する島』に来たけど。
何これ……
部屋の中にリボンがかけてある箱が山積みになっている。
誰かからの贈り物なのかな?
最近この家に入っていなかったから知らなかったよ。
「ハデス……? この大量の箱は何?」
「ああ。これはベリス王からだ。ウリエルが赤ん坊は男の子と女の子だと言っていたからな。服とおもちゃを大量に贈ってくれたのだ」
「ベリス王が!? 一体いくらしたの!?」
今度はいくら取られたの!?
「いや、これは贈られたのだ。ベリス王は子うさぎとオケアノスに王女の事で恩義を感じているらしいからな」
「確かにベリス王はうさちゃんを大切にしていたけど……」
あのベリス王がこんなに贈り物をくれるなんて。
しかも交換条件なしで?
信じられないよ。
「どれも質の良い物のようだ。『ぜひ娘の友になって欲しい』と言っていた」
わたしの赤ちゃんをベリス王女の友達に?
だからタダで色々贈ってくれたのか……