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うさちゃんは、これからもうさちゃんのままなのかな?

「卵が『昼寝する島』を見つけたみてぇだ。卵の中から見えてるとは思えねぇけど……」


 雪あんねぇの言う通りだね。


『うさちゃんがお昼寝する島』は幸せの島の波打ち際に浮かんでいる小さい島。

 わたしとハデスの『愛の島』とか言ってベリス王が家と家具を用意してくれたんだけど、結局『うさちゃんがお昼寝する島』だったんだよね。

 うさちゃんはすごく気に入って、夜冥界に眠りに行く時以外はずっとその島のフカフカのベットでウトウトして過ごしていたんだ。

 まぁ、冥界に行く時もそのベットに寝たまま移動していたんだけどね。

 風の魔法石を埋め込んで、うさちゃんの行きたい方に進めるベットをドワーフのおじいちゃんが作ってくれたんだけど……

 まさか、卵から孵ってもずっとベットでウトウトしていたりしないよね?


「あの、うさちゃんだからね。ベットに引き寄せられるように見つけたんじゃないかな?」


「こりゃあ、卵から孵ったらずっと昼寝する島で寝てそうだな」


「卵に入っている時もだったりして」


「確かに……」


 雪あん姉と目が合うと笑いが込み上げてくる。


「あはは!」

「ははは!」


 あぁ……

 雪あん姉は笑う姿もかっこいいなぁ。


「ぺるみ!」


 わたしと雪あん姉の笑い声に気づいたベリアルが飛んできた。

 いつもより飛ぶのが速いけど……

 何も食べていないなんて事はないよね?

 わたしを心配してずっと食べずにいたなんて事は……

 ん?

 くちばしの周りにクリームがついている。

 よく見たら桜の木の下の敷物にすごいごちそうが並べてあるよ?

 まさか宴会をしながら待っていたの?

 わたしが痛い思いをしていた時にごちそうを食べていたなんて……

 あれ?

 イナンナが敷物の端でお酒を飲んでいる。

 膝にピンク色の何かが……

 あぁ……

 ドラゴンの赤ちゃんか。

 ガタガタ震えているけど……

 他のドラゴンと違って気が小さい子だからイナンナの事が怖いんだろうね。

 うわぁ……

 ヴォジャノーイ王とグリフォン王が泣きながらお酌をさせられている。

 ドロドロの恋の話ができなくて泣かされたのかな?

 イナンナは元の姿に戻っても何も変わらないんだね。

 あれ?

 でも、イナンナは妊娠中だよね?

 あぁ……

 そうか、最近ベリス王が売り出したノンアルコールのお酒か。


「ぺるみ! 聞いてるか?」 


 ベリアルが慌ててわたしの腕に飛び込んできた。


「聞いているよ?」


「あん姉に抱っこされてるけど大丈夫か? 身体が辛いのか?」


「ふふ。大丈夫。外に出てきたら卵が転がっていて驚いたよ」


「オレもだ。卵が海に落ちるんじゃないか心配だったけど……やっぱりうさちゃんだよな。あの島に吸い込まれるみたいに転がり込んだ」


「……うん。そうだね。オケアノスは卵の中で巻き込まれて大変かもしれないけど……きっと笑っているはずだよ」


「そうだな。オケアノスはオレにもすごく優しかったから。卵の中でうさちゃんをかわいがってるんだろうな」


「ベリアル……さっきは前を向かせてくれてありがとう」


「オレはオケアノスとうさちゃんの言葉を伝えただけだ」


「わたし、これからは前しか向かないよ」


「そうか。それでいい。それでいいんだ」


「よぉし! 皆! 今からぺるぺるの卵が産まれたお祝いだ!」


 吉田のおじいちゃんが嬉しそうにふんどし踊りを始めたけど……

 最近は全裸じゃないから誰もとめなくなったよね。

 いや、全裸の時も誰もとめなかったかも。

 おじいちゃんは、あれが当たり前だと思われているんだね。

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