表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1469/1484

やっぱり雪あん姉はかっこいいお姉さんだよ

「ゼウスは家族の為ならなんでもするから……」


 お母様の言う通りだね。

 

「……うん。ありがたいけど、心配にもなるよね。あ……おばあちゃん、お母様、雪あんねぇ、おあいちゃん。ずっと手伝ってくれてありがとう。皆のおかげで無事に産む事ができたよ」


 きちんとお礼を言わないと……


「うわあぁぁぁっ!」


 ……?

 外からベリアルの叫び声が聞こえてきた?

 どうしたんだろう?


「待て! どこに行くのだ!?」


 ハデスの声も聞こえてきた?

 一体どうしたの?

 あのハデスがこんなに慌てた声を出すなんて……

 まさか、卵に何かあったの?


「ぺるみは待ってろ! ばあちゃんが見てくるから!」


 おばあちゃんと、おあいちゃんが外に確認しに行ったけど……

 何があったんだろう?


「ペルセポネ……お母様も見てくるわ。まさかとは思うけど……誰かが卵を落としたのかも……」


 お母様が心配そうに話しているけど……


「卵を落とした? でも、天族の卵はかなり硬いから落としたくらいじゃ割れないはずだよ?」


「でも……ハデスのあの慌てた声……かなりの事があったはずよ?」


「かなりの事……どうしよう。もし卵が割れたらどうなるの?」


「分からないわ。今までそんな話は聞いた事がないから……とにかく行ってくるわ」


 お母様が慌てて外に空間移動したけど……


「よし! じゃあ、ぺるみはオレが抱っこで連れてってやるか!」


「え? 雪あん姉?」


 抱っこで?

 雪あん姉は力持ちだけど、わたしは重いから……


「しっかり掴まれ! ぺるみだけ部屋で待ってたら気になって仕方ねぇだろ?」


「うん! でも、大丈夫かな? わたし……重いよ?」


「ははは! オレは第三地区の奴らを守る為にこの身体を創ってもらったんだ。ぺるみも第三地区で暮らす『家族』だろ? もちろん卵もそうだ。皆家族だからな。その家族をオレが抱えられねぇはずがねぇだろ?」


「雪あん姉……うん! ありがとう! お願いします」


「任せろ!」


 ……!

 うわあぁ!

 すごい。

 軽々抱っこしてくれたよ。

 雪あん姉のムキムキの腕に抱き上げられると……

 ぐふふ。

 興奮してきたよ。

 やっぱり、わたしは筋肉が好きなんだね。

 雪あん姉は、かっこいいなぁ。

 こんな素敵な大人になりたいよ。

 

「うぅ……眩しい……」


 家から出ると……

 今日も幸せの島は暑いね。

 海風が気持ちいいけど出産で疲れ果てた身体には、かなりこたえるよ。


「ははは! もう昼だからな。今日も晴天だ! 赤ん坊達が卵から孵って大きくなったら『よく晴れた気持ちいい昼に産まれた』って話せるな!」

 

「……うん。皆……わたしが前を向けるようになるまで待っていてくれたんだね」


「ぺるみなら前を向けると信じてた。オレだけじゃねぇ。皆が信じてたんだ」


「皆が……? もしかして皆、わたしの赤ちゃんに魂がない事を知っていたの?」


「ベリアルは嘘をつけねぇからな。バレバレだった」


「全部知っていたのに黙って見守ってくれたの? わたしを信じて……わたしなら前を向けるって……」


 嬉しくて……

 申し訳なくて……

 でも、心が温かい。

 大切な存在に信じてもらえるって、こんなに幸せな気持ちになれるんだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ