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ハデスとお父様は兄弟だけど全然違うよね

「そんな事はないよ。ハデスは陣痛が始まってからずっと手を握っていてくれたでしょう? すごく心強かったんだよ?」


 本当にすごくありがたかったんだから。


「ペルセポネ……わたしはもう……独りではないのだな」


 ハデスが悲しそうにわたしを見つめている……?

 あぁ……

 そうか……


「……ハデス」


 闇に近い力のせいで、天界では苦労したんだよね。

 天界にいた頃の家族仲はすごく良かったみたいだけど、この『人間と魔族の世界』に追放されていきなり異種族の中に放り込まれて……

 寂しくて辛かったんだろうな。


「いや、違うな。この世界に追放され……わたしにはヴォジャノーイ族の妹と甥がいてくれた。わたしは……独りではなかった。温かい気持ちを与えてくれる存在が常にいてくれたのだ」


「……うん」

 

 ハデスにとってヴォジャノーイ族の妹さんと甥であるヴォジャノーイ王は、すごく大切な存在なんだね。

 妹さんが生きていたら今のハデスの幸せな姿を見て安心したはずだよ。

 ハデスは『じいじ』だった頃も誤解されやすかったから……

 本当は優しいのに怖いって勘違いばかりされているんだよね。

 まぁ、暗殺とかをしているのは事実だけど……


「さ、ハデスちゃん。外で待ってる皆にかわいい卵を見せてやろうなぁ。皆、心配で寝ずに待ってたんだ」


 え?

 吉田のおじいちゃんが嬉しそうに話しているけど……

 皆待っていてくれたの?

 そういえば、いつの間にか外が明るくなっている。 

 

「では、ペルセポネはゆっくりしていてくれ。わたしは卵を見せてくる」


 ハデスも嬉しそうだね。

 布にくるまれた卵を抱っこして立ち上がったけど……

 すごく大切そうに卵を見つめている。

 あぁ……

 ハデスとの赤ちゃんを無事に産めて良かった。

 

「うん。ありがとう……」

 

 吉田のおじいちゃんとハデスが嬉しそうに部屋から出ていった。

 外で皆が待っているって言っていたけど、皆って誰だろう?

 確か、グリフォンのお兄ちゃん達とイナンナ達とリリー?

 あとはいつも第三地区にいる皆かな?

 

「さて、じゃあ女だけになったから着替えるか。よく頑張ったなぁ。痛かっただろ?」


 おばあちゃんは着替えを持ってきてくれたんだね。

 あれ?

 女だけって言った?

 お父様はどうしたんだろう?


「ねぇ、お父様は? 途中から姿が見えなかったけど……」


「んん? そう言われてみれば……どこに行ったんだ?」


 おばあちゃんは、ずっと出産の手伝いをしてくれていたから気づかなかったんだね。


「あぁ……痛そうなペルセポネを見ていられないってずっと言っていたの。でもついに限界がきてね。卵が産まれた後すぐに倒れたのよ。ゼウスは血が苦手だから……今は隣の部屋で寝ているわ」


 お母様が呆れながら話しているけど……


「そうだったんだね。一番に卵を抱きたがっていたから目が覚めたら残念がるだろうね」


「そうね。ゼウスには赤ん坊に魂がない事を話していなかったから……それを伝えていたら今頃どこかから無理矢理魂を連れてきて、赤ん坊に入れようとしていたはずよ」


「お父様なら、やりかねないね……」


 そうならなくて本当に良かった……

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