表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1467/1484

パパとママでずっとずっと守るから

「わたしとハデスの赤ちゃん……オケアノス、うさちゃん。卵から孵ってくるのを楽しみにしているからね。これで、お別れじゃないんだよね? これから始まるんだよね? 皆で待っているから。二人が元気に卵から出てくるのを待っているから。……安心してね。何があっても二人を守るから。誰かが二人を虐げるなら、ママがその考えを変えてみせるから。世界を変えてみせるから。だから……安心して卵から孵ってね」


 卵の中の赤ちゃんに聞こえているのかな?

 反応がないから分からないよ。


「ペルセポネ……それは違うぞ?」


 ……?

 ハデス?

 何が違うのかな?


「えっと……?」


「ママと()()で愚かな者達の考えを変えさせるのだ」


 ハデスが『パパ』って言った?

『父上』とか『お父様』じゃなくて『パパ』って呼んで欲しいんだね。

 それに……

 赤ちゃんを愛している気持ちが伝わってきて、すごく心が温かくなる。


「……うん。えへへ。ありがとう。ハデスは優しいパパになりそうだね」


「優しいパパ……か」


 ……?

 ハデスの表情が暗くなった?

 どうかしたのかな?


「ハデス?」


「あぁ……赤ん坊に魂がないと分かった時……わたしは自分を責めたのだ」


「……え?」


「わたしが……多くを恨み、多くを奪ってきた罰を与えられたのだ……とな」


「そんな……! それは違うよ! ハデスはいつも、誰かの為に……だから、それだけは違うよ」


「今こうして卵を抱きしめて……心に誓ったのだ。少し力を入れたら壊れてしまいそうな卵を……何があろうと必ず守り抜く。必ず幸せにすると……」


「……うん。わたしも同じ考えだよ。一緒に守ろう。わたし達の赤ちゃんを……」


「ああ。共に守ろう。……ありがとう。ペルセポネ。わたしに親になる喜びを与えてくれてありがとう」


「ハデスが誰よりも優しい事をわたしは知っているよ。困っている魔族を陰ながら守って、甥であるヴォジャノーイ王を命がけで愛してきた事も」


「ペルセポネ……」


「いつも、自分の事は後回しで困っている誰かをこっそり助けていたよね」


「わたしは、そんなに立派ではない」


「ううん……立派だよ」


「ペルセポネ……大切な存在に認められると嬉しいものだな」


「ハデス……」


 そうだね。

 大好きな誰かに認められると嬉しいよね。


「命を産み出すのは……」


「……え?」


 命を産み出す……?


「あ……いや。上手く言えないが……出産が命がけだという事は知っていた。だが想像以上だった。出産途中でペルセポネに何かあったらと、ずっと不安だった。何もできずにうろたえる事しかできず……すまなかった」


 ハデスは、そんな風に思っていたんだね……  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ