命の重み
「ハデスも卵を抱っこして? ……二人分の重みだよ。オケアノスとうさちゃんの命の重み……」
あぁ……
涙が溢れてきちゃった。
二人が繋いでくれた命の重さ……
わたしの頭くらいの大きさの卵に大切な二人が入っているんだね。
この殻の中にオケアノスとうさちゃんが……
「ペルセポネ……大切に育てよう。オケアノスと子うさぎが我らの元に来て幸せだと思ってくれるように」
ハデスが卵を優しく抱きしめながら微笑んでいる。
「……うん。毎日温めて、話しかけて……それから……」
ダメだ。
言葉に詰まっちゃうよ。
「それから、たくさんの愛を注ごう……」
ハデスがわたしの髪を優しく撫でながら言葉の続きを言ってくれた……
「……うん。うん……」
わたしとハデスの赤ちゃん……
愛おしくて堪らないよ。
美しくて優しいこの世界を早く見せてあげたい。
あなた達のかわいい声を早く聞かせて……
あなた達のかわいい瞳でママとパパを見つめて……
そして……
『パパ』『ママ』って呼んでくれたら……
嬉し過ぎてわたしの神力が溢れ出しちゃうんだろうな。
そうしたら二人を祝福しているみたいに世界中がキラキラ輝いて……
それを見た二人がニコニコ笑って……
想像しただけで嬉しいな。
特別な事なんて望まない。
ただ平凡に、ただ穏やかに過ごせればそれでいいの。
一緒にご飯を食べて一緒に眠って、あなた達の成長を喜んで……
そんな日々に感謝しながら過ごせればそれでいいの。
一緒に幸せになろうね。
誰にも虐げさせたりしない。
ひとりぼっちになんてさせない。
寂しい思いもさせない。
『産まれてきて良かった』と心から思ってもらえるように愛を注ぐから……
オケアノス……
安心して産まれてきてね。
どんな容姿でも誰にも差別なんてさせないから。
うさちゃん……
二度と大切な誰かを奪わせたりしないよ。
家族を奪う戦なんて絶対に起こさせない。
聖獣王の考えが合っているのなら、うさちゃんは『オケアノスの魂』のお父さんなんだね。
今度は、わたしがうさちゃんを守るから。
絶対に守るから。
二人にオケアノスとうさちゃんの記憶が残っているのかは分からないけど……
ずっとずっと二人の事は忘れない。
絶対に忘れないよ。
子守唄を歌うのが大好きで、ベリアルの事がかわいくて堪らないオケアノス。
ハデスと貝殻拾いをしたり、フカフカのソファーとベットでウトウトするのが大好きなうさちゃん。
二人はどんな、きょうだいになるのかな?
卵から孵ってきたらどんな風に育つんだろう?




