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お願いだから空気を読んで……

「ううう! 痛い痛いっ! 腰が砕けるううぅぅ!」


 痛いいぃぃ!

 冗談じゃなく腰が砕けそうだよぉぉ!


「ペルセポネ……あぁ……頑張って……卵が少し見えてきたわ」


 お母様が出産の手伝いをしてくれている。

 それはいいの……

 おばあちゃんと雪あんねぇとおあいちゃんがいてくれるのもいいの。


 でも……


「なんで吉田のおじいちゃんとお父様までいるの!?」


 普通、立ち会うのは赤ちゃんの父親でしょ!?

 どうしておじいちゃんとお父様まで立ち会っているの!?


「まぁまぁ、ちゃあんと枕元で見てるからなぁ。間違えても足元には行かねぇぞ? ははは!」


 吉田のおじいちゃん……

 何もおもしろくない。

 今は、ものすごく、ものすごぉく痛いんだよ!

 聞こえているよね!?

 わたしの心の声が聞こえているよね!?

 

「ペルセポネ……大丈夫か? 背中をさするか?」


 あぁ……

 ハデス……

 今は背中をさするより吉田のおじいちゃんとお父様を追い出して欲しいよ。

 この二人がいると出産に集中できないんだよ。


「ぺるぺる……」


 吉田のおじいちゃんが申し訳なさそうに話しかけてきた?

 さすがに部屋にいるのが変だって気づいたんだね。

 はぁ……

 これで安心して出産に集中できるよ。

 って……


「おじいちゃん!? なんで服を脱ぎ始めたの!?」


 まさか……

 裸踊りを始めるつもりなんじゃ……


「んん? 出産の舞を……」


 出産の……舞……?

 

「こんな時にふざけるなあああああっ!」


 ふぅ……

 やれやれ。

 吉田のおじいちゃんが、雪あん姉に担がれて出ていったよ。

 それにしても、ずっとジタバタしていたね。

 ん?

 お父様も一緒に連れていってくれれば良かったのに。

 あれ?

 いつも賑やかなのに、ずいぶん静かだね。

 どうしたんだろう?


「ペルセポネェ……痛い? ねぇ、痛い?」


 お父様が心配そうに話しかけてきたけど……

 やっぱりお父様は優しいね。


「今は少し落ち着いたよ……ありがとう」


「……うぅ。ペルセポネェ……大きい卵を今から産むんだね。痛そうだなぁ……痛そうだなぁ……すごく痛いんだろうなぁ。ねぇ、ねぇ。痛い? どれくらい痛い? ものすごく痛い? ねぇ、ねぇ……何をされたくらい痛い?」


 綺麗な瞳を潤ませながら尋ねてきた……

 これはこれで鬱陶しいね。

 

 ……!?

 うわ……

 すごく痛くなってきた……

 今までとは比べ物にならないくらいの痛みだ……


「ぺるみ……いきめ!」


 おばあちゃんが叫んだ!?

 いきむ?

 力を入れるっていう事!?

 痛過ぎて勝手に身体に力が入っているけど!?

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