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母親として

「ベリアル……」


 すごく辛そうだよ……

 遥か昔の天界での出来事を思い出しているのかな?


「大好きなぺるみの赤ん坊になれて……うさちゃんは幸せなはずだ。だから、そんな辛そうな顔をするな! オケアノスとうさちゃんの気持ちを受け止めてやれ!」


 わたしを勇気づけてくれるの?


「……オケアノスとうさちゃんの気持ちは、すごくすごく嬉しいの。……でも、やっぱり……申し訳なくて……」


「申し訳ないって思うんだったら……二人を世界一幸せな赤ん坊にしてやれよ!」


 世界一幸せな赤ちゃんに……?


「ぺるみにできるのは恩返しだけだろ?」


「確かに……そうだけど……」


「二人がこれから先、オケアノスとうさちゃんとして生きられない事を申し訳ないと思ってるのか?」


「……うん」


「オケアノスは言ってた。このままぺるみの中にいたら、いつかは融合して消えてたはずだって」


「……え? 融合……? いつまでも今のままでは、いられなかったの?」


 オケアノスはわたしの中に居続けてくれると思っていたけど……

 完全に融合したらオケアノスはわたしの中で消えていたの?


「そうだろうな……」


「そんな……」


 まさか、それで最近ずっと眠そうにしていたの?


「うさちゃんも……魔法石が壊れそうになってたらしい。でも、前例がないから……魔法石が砕けた後に無事で済むのかは誰にも分からなかったんだ。だから……ぺるみは二人を助けたんだ。自分を責める事なんてない」


「わたしが……二人を助けた?」


「そうだ。だから何も気にするな。ぺるみは、元気な卵を産む事だけを考えろ。このままそんな風に悩み続けたら二人に失礼だ。二人は不幸になる為にぺるみの赤ん坊に入ったわけじゃない。幸せになる為にそう決めたんだ」


「ベリアル……」


「悩むのはここまでだ。これからは『申し訳ない』って思うんじゃなくて『一緒に幸せになろう』って思え。二人はオケアノスとうさちゃんだけど、ぺるみとハデスの赤ん坊だろ? これから先ずっと母親に謝り続けられたら嫌だろ? 違うか?」 


「……それは」


 ベリアルの言う通りだ。

 そんな風に考える余裕がなかった。

 母親がずっと謝っているなんて赤ちゃんも嫌だよね。

 自分の事しか考えないなんて……

 わたしは本当にダメなママだ。

 

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