ウリエルは幼女の事になるとすごいよね
「ん? ウリエルが言ってたぞ? 一人は女の子で一人は男の子だって」
ベリアルが嬉しそうに話しているけど……
「……え? どうしてウリエルは、お腹の赤ちゃんの性別が分かるの?」
「なんだっけ? 確か、幼女愛のパワーだっけ? そんな感じの事を言ってたぞ。お菓子を食べてたからよく聞いてなかったけど」
「幼女愛のパワー? ……確かにウリエルはそれだけを心の支えにして生きているからね……あぁ……わたしのお腹の赤ちゃんは女の子と男の子なのか……卵から孵るまでのワクワクがなくなったね……」
「ぺるみはウリエルの言葉を信じるのか?」
「だって、あのウリエルだよ? 妊娠する前から毎日わたしのお腹を確認していたあのウリエルだよ? 幼女への愛だけでここまで生きてきたあのウリエルだよ? 絶対に性別を間違えるはずがないよ」
「ふーん。そうなのか? 性別なんて関係ないけどな。男でもオークとか熊太郎みたいに優しくて料理上手な奴もいるし、女でも雪あん姉とかハーピーみたいに強くてかっこいい奴もいるだろ?」
「それもそうだね。わたしも、おしとやかな女の子より雪あん姉みたいに強くてムキムキになりたいよ。かっこいいんだよねぇ。憧れちゃうよ」
「確かにぺるみには、おしとやかとか似合わないよな。って……次の陣痛が来る前に早く幸せの島に空間移動するぞ。もう陣痛が始まって六時間も経ったんだ」
「え? 六時間?」
いつの間にか六時間も経っていたんだね。
「油断してたら産まれちゃうかもしれない。お腹の赤ん坊は幸せの島で産みたいんだろ? 桜の木の下の聖女もきっと待ってるぞ」
「……え?」
桜の木の下の聖女……?
おばあちゃんだけの考えじゃなくて外にいる皆で話し合っていたのかな?
「聖女はオケアノスを心配してたんだ。そのオケアノスが幸せな赤ん坊として生まれ変わる……聖女は絶対に喜んでる! そうだろ?」
「……ベリアル」
その通りだね。
「皆で世界一幸せな赤ん坊にしような」
「……うん」
皆で……か。
すごく心が温かくなるよ。
「えへへ。オレ……うさちゃんには泣かされてばかりだったけど、結構好きだったんだ。ベリス王からオレのガラス細工をもらったりしてて、かわいいところもあったんだ」
「うさちゃんがお昼寝する島にあるガラス細工の事だよね?」
「オレ……うさちゃんとオケアノスをすごくすごく大切にするからな。本当はオレがぺるみの赤ん坊になりたかったけど……それは、無理だったんだな。さっき聖獣王から聞いたよ……」
「わたしとハデスの赤ちゃんの身体に耐えられる魂じゃないと消滅する事……だよね?」
あの時ベリアルの魂を赤ちゃんに入れなくて本当に良かったよ。
もし、ベリアルが消滅していたら……
そう考えるだけで胸が痛くなるよ。




