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忘れて欲しい過去ってあるよね

「ずっと……幸せ。そうだなぁ。そうだなぁ。ばあちゃんも、ずっとずっと幸せだ……」


 おばあちゃんが優しく微笑みながら話している。

 さっきまで、すごく辛そうだったから安心したよ。


「うん! えへへ」


 おばあちゃんと笑い合うと心が温かくなる。


月海るみは、ばあちゃんの全てだった。かわいくてかわいくて……初めてしゃべった時も、ハイハイした時も……全部全部覚えてる。初めて高崎のデパートに行って泣いて帰ってきた時も、勉強しねぇで天ちゃんと棒切れを持って山を駆け回ってテストで一問も解けなかった時も……全部全部覚えてる」


「……後半の部分は忘れてくれても構わないよ」


「ははは……忘れねぇさ。何も考えねぇで……ただ愛を注げる幸せを与えてくれたのが星治せいじと月海だった。……ありがとう。ばあちゃんは……本当に幸せだった」


「……おばあちゃん」


「天界は……酷い場所だった。神の妻であり母であるばあちゃんでも何ひとつ思い通りにはならなかった」

 

「……うん」


「ぺるみの赤ん坊は天界で産まねぇから、記録には残らねぇ。天界では存在してねぇ子になるぞ?」


「……うん」


「それで……いいんか?」


「記録には残らなくていいの。オケアノスとうさちゃんは聖獣の魂だったはずだから天界には入れるし……天界に行かなくても、お父様もお母様も毎日会いに来てくれるはずだから」


「そうだなぁ。ばあちゃん達は冥界に入る為の入門申請書を毎日出してるし……ぺるみは初めての子育てだからほぼ第三地区に来てるかもしれねぇなぁ。ばあちゃんも第三地区の皆もその方が嬉しいけどなぁ……」


「わたしも、分からない事ばかりだからおばあちゃん達がいてくれたら心強いよ。それに……赤ちゃんは神様であるお父様の孫でしょう? 今は大丈夫でも、数千年後に争い事に巻き込まれるかもしれない……それを避ける為にも記録には残らない方がいいの。それに、赤ちゃんは『冥王ハデス』の子なの。天界の神の座とは関係ないんだよ」


「そこまで考えてたんか。……あの月海が母ちゃんになるなんてなぁ」


「えへへ。自分でも信じられないよ」


「新たな幸せに向かって動き出してるんだなぁ」


「……うん。おばあちゃんも……ね」


「そうだなぁ。皆で幸せに向かって動き出したんだなぁ」


「赤ちゃんが大人になる頃に……この世界はどうなっているんだろう」


「天族の赤ん坊の成長は個人差が激しいからなぁ。すぐに大きく育つ子もいれば、何百年も子供の姿の事もある」


 何百年も子供の姿でいるの?

 でも、心は大人になっているんだよね?

 うーん……?


「天族の子供の成長には神力が強さが関係しているの?」


 だとしたら、わたしとハデスの赤ちゃんは神力が強そうだからすぐに大人の大きさになるのかな?

 

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