おばあちゃん……大好きだよ
「ぺるみ。幸せの島の空き部屋を整えてきたからなぁ」
おばあちゃんがベリアルを抱っこして部屋に入ってきたけど……
「幸せの島……?」
「ああ。ばあちゃんの部屋にはベットがねぇからなぁ。布団より産みやすいはずだ」
「……そうなの?」
「それに……オケアノスとうさちゃんには、幸せの島から始まって欲しいんだ」
「幸せの島から……?」
「遥か昔……この『人間と魔族の世界』はオケアノスを捨てる為に創られた。でも……オケアノスは家族を作り幸せに暮らしてきた」
「……うん。でも……人間が知恵をつけるとオケアノスは襲われて……」
「そうだなぁ……それから、オケアノスは幸せの島で独りで暮らす事を決めた」
「そこに、吉田のおじいちゃんが現れたんだよね」
「……そうだなぁ。それから、オケアノスは心を壊し……身体を魔素にやられて……最期は……」
「……うん。吉田のおじいちゃんが……自害……させたんだよね」
「晴太郎にばかり酷い事をさせちまった……」
「……おばあちゃん」
すごく辛そうだ……
「それから……うさちゃんも第三地区で産まれたんだ」
「そうだね。何があったのかは分からないけど……」
「……今度こそ幸せになって欲しいんだ。幸せの島は不思議な島だ……関わった奴らを幸せにする島……本当に不思議だなぁ。桜の木の下で眠っている聖女はどう思ってるんだろうなぁ。洞窟にいた時よりも幸せだと思っていてくれたらいいけどなぁ」
「うん。……幸せの島から始まれば……世界一幸せな赤ちゃんになれるかもしれないね。きっと桜の木の下で眠っている聖女も見守ってくれるよ」
「今度こそ……誰にも奪われず……誰からも迫害されず……誰からも愛される……そんな幸せの中で生きて欲しい」
「絶対にそうなるよ。絶対にそうするよ。そうならない世界ならわたしが変えてみせるから!」
「ぺるみ……本当に強くなったなぁ」
「えへへ……今まで出会った皆が、わたしに前を向かせてくれたの」
「そうか……」
「おばあちゃん……」
「んん?」
「群馬で二人きりだった時も……この世界に来てからも……ずっとずっとわたしのおばあちゃんでいてくれてありがとう」
「ぺるみ……」
「わたし……幸せだったよ?」
「……そうか」
「それと……」
「それと?」
「これからも……ずっとずっと幸せだよ!」
今なら心から言える。
わたしはこれからも幸せに暮らしていくの。
過去の苦しみを乗り越えてきたから……
これから訪れるであろう苦難も絶対に乗り越えられる。
今のわたしなら、それができる!
こんな風に思えるようになれたのは今までわたしに出会って背中を押してくれた皆のおかげだね。




