直接話さないといけないんだよ
きちんと、うさちゃんとオケアノスと話さないと。
わたしが寝ている間に……
何も話せずに二人が赤ちゃんの身体に入っていたら……
そんなのは絶対にダメ。
二人に直接訊かないと……
『本当にわたしの赤ちゃんになりたい? 』って……
二人から直接聞かないと……
『ペルセポネの赤ん坊になりたい』って……
もし、本当に二人がわたしの赤ちゃんになってくれるなら……
『わたしの赤ちゃんになりたいと思ってくれてありがとう』って伝えたい。
本当だったら嬉しいな……
赤ちゃんが元気に産まれてきてくれたら……
毎日毎日これ以上ないくらい溺愛して……
それから……
それから……
あぁ……
こんなに穏やかな気持ちは久し振りだ。
本当に死産じゃなかったら……
すごくすごく嬉しいよ……
「オイ……ダイジョウブカ? ハラガ、イキナリ、フクランダゾ?」
「んん? こりゃあ……膨らみ過ぎじゃねぇか?」
……え?
聖獣王と吉田のおじいちゃんの恐ろしい言葉が聞こえてきた?
「コノママダト、バクハ……」
は!?
爆発!?
今、とんでもない言葉が……
あぁ……
眠過ぎて……
もう……
ダメ……
お願いだから早くおばあちゃんの所に連れていって……
聖獣王もおじいちゃんもオロオロし過ぎて不安になってきたよ。
まだ寝ちゃダメ!
今寝たら本当にお腹が爆発……
でも……
眠い……
目の前が真っ暗……
「ぺるみ……大丈夫か?」
……?
この声は……
おばあちゃん?
「ペルセポネ……あぁ……目が覚めたのね?」
お母様もいるの?
ゆっくり目を開けると……
ここは、第三地区のおばあちゃんの部屋?
「あれ……? わたし……」
どうしたんだっけ?
「すまねぇなぁ。晴太郎がいきなり腹の子の成長を進めたから……」
おばあちゃんがわたしのお腹を優しく撫でながら話している?
「さっきのは夢じゃなかったんだね」
「あぁ。そうだなぁ。見てみろ。腹がかなり大きいだろ?」
「え? あ……本当だ」
おじいちゃん達が騒ぐ気持ちがよく分かるよ。
「ぺるみが前に進めるまで時を止めてたんだ」
「前に……進めるまで?」
「決心したんだなぁ……偉いぞ」
決心……?
「あ……わたし……」
そうだよ。
聖獣王に言われたんだ。
オケアノスとうさちゃんがわたしの赤ちゃんになるって……
「オケアノスは腹の子の一人に入った」
「え? オケアノスが?」
わたしが眠っている間に何があったの?
オケアノスはずっとわたしの中にいたのに……
何も話せなかったなんて……
「元々ぺるみの中にいたから問題なく入れた。オケアノスは前からぺるみの赤ん坊になるって決めてたらしい。完全に魂が融合してなくて助かった……」
「オケアノスが……わたしの赤ちゃんになる事を決めていた?」
ずっとわたしの中にいたのに全然知らなかった。
「あとは……うさちゃんなんだけどなぁ」
「うさちゃん……?」
「最後にぺるみに話してぇ事があるらしい」
「最後……?」
あぁ……
最後……
わたし……
うさちゃんに酷い事を……
わたしをずっと守ってくれていたうさちゃんなのに……
こんな風に終わりにさせるなんて……
わたしの赤ちゃんにさせて、うさちゃんとしての未来を奪うなんて……
「ペルセポネ……」
うさちゃん?
お母様に抱っこされていたんだね。