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謎多きヒヨコちゃんと隠し事は全てばれている神様

 ぐうぅぅ


「え? 今の音は……」


 このかわいい音はベリアルのお腹の音だよね?

 くぅぅ!

 なんてかわいいの!?

 見た目はヒヨコちゃんだけど内臓は人間と同じ構造なのかな?

 うーん。

 ベリアルには謎が多いね。

 謎多きヒヨコちゃんか……  

 ぐふふ。

 さらにかわいさが増していくね。


「うぅ……さっきのナッツのタルト食べたかった……」


 くぅぅ!

 つぶらな瞳がかわいいっ!


「ああ、確かにおいしそうだったね」


 安心したらお腹が空いたのかな?

 そんなところもかわいいっ!


「ん? やっぱり水晶で見てたのか?」


「うん! かわいいベリアルが初めてお使いするところを見逃すわけにはいかないでしょ!? まばたきさえ我慢したからね! 今は目が乾燥しているよ……」


「ぺるみ……お前……怒ってないのか?」


 怒る?

 かわい過ぎるところが、けしからんって?

 うーん……

 あ、公爵の事かな?


「えっと……公爵はまっすぐ生きてきたなんて言ってるけどかなり狡猾だからね。いろいろ話さないで偉かったね」


「……オレ、もうここに戻れないかと思った」


「ふふ。ここにいる皆はベリアルの事が大好きなんだよ? わたしが迎えに行くって言ったらお母様が自分が行くって言ってくれたの」


「公爵にもおばあ様にもわたしの口からきちんとお礼を言いたかったからちょうど良かったわ。ふふ。ベリアルありがとう」


 お母様が迎えに行ってくれたから丸く収まったね。

 やっぱりお母様は優しくて頼りになるよ。


「ありがとう? 話しちゃダメな事を話したのに?」


 くぅぅ!

 首を傾げたヒヨコちゃんもかわいいっ!


「あのくらいは話したうちには入らないわ。安心して? あぁ……それより……ペルセポネ、よだれが……」


 え?

 お母様?

 よだれ?

 わたしが!?


「え? 嘘だろ! オレの頭によだれがついた! 汚いっ! ばあちゃんお風呂お風呂!」


 うぅ……

 本当にごめん。

 またやっちゃった。


「ははは! 第三地区に戻るか。じゃあ、ぺるみはハデスの側にいてやるんだぞ?」


 おばあちゃん達が第三地区に戻っていくと魔族達と、天族のお母様が幸せの島に残る。


「魔族の皆は大丈夫? 身体は辛くない?」


「はい。あの時は凄まじい闇の力に身体が思うように動かせませんでしたが、今では落ち着きました。伯父上のお力はすごいですね」


 ヴォジャノーイ王の言う通りだね。

 ハデスの力は天族に戻ったわたしには怖いくらいだったよ。

 ……魚族長がお父さんとドラゴンの島に行っていて良かった。

 もし、ハデスを止めに入っていたらどうなっていたんだろう?

 魚族長は半分天族の血が入っているからね。

 闇の力は辛いはずだよ。


「では我らはこれにて失礼します。ぺるみ様は明日からアカデミーですね。悪意のある人間にはお気をつけください」


 イフリート王が心配そうにしている。

 本当に魔族は優しいね。


「うん。ありがとう。あ! 蚕に会いに行かないと!」


 しまった!

 すっかり遅くなっちゃった。


「それなら安心して? ヘラがウェアウルフ王と蚕のいる領地に向かったわ?」


 お母様?

 ヘラとウェアウルフ王が?

 そうか、ウェアウルフ族は生き物とか自然に精通しているんだよね。

 ヘラが空間移動で送ってくれたんだね。

 ありがたいな。


「ヘラはご機嫌だったわ? ゼウスの左の引き出しの奥に絵姿が入っていたってね」


 お母様が少し寂しそうに笑っているね。

 大好きなお父様がヘラの絵姿を隠していた事を知って辛いのかもしれない。

 あの事も教えないと……


「あ……えっとね? (右の引き出しの奥にはお母様の絵姿が隠してあるんだよ?)」


 もっと早く教えれば良かったよ。


「え? ふふ。困ったゼウスね」


 お母様が嬉しそうに笑っている。 

 良かった。

 お母様が寂しそうだとわたしも辛いから。

 ちなみにお父様の引き出しにはわたしの絵姿も隠してあるんだよね。

 それからヘスティアとハデスとポセイドンの絵姿も。

 大切な家族といつも一緒にっていう事かな?

 お父様のそういうところ……好きだな。

 あれ?

 そういえばお父様はどうしたんだろう?

 姿が見えないね。

 ヘスティアもいないし、天界で火干しにでもされているのかな?

 わたしの下着を触っていたみたいだからね……


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