うさちゃんの過去?
「ソウカ……アノオカタハ……ペルセポネニ、スベテヲ、ササゲタノカ」
聖獣王?
それってどういう意味?
「全てを捧げた? うさちゃんが?」
『全て』って?
「アノオカタ、ニハ、コウゲキ、サレタ、チカラヲ、キュウシュウ、スル、ノウリョクガ、アッタ」
「攻撃された力を吸収する能力? それって……じゃあ、うさちゃんがその力をわたしにくれたの?」
「……シアワセニ、シテヤッテクレ」
「……? 何を? うさちゃんの事?」
「ペルセポネノ、ココロノ、オトハ、フタツ、アル」
「今の話から考えると……ひとつはうさちゃん? じゃあ、もうひとつは?」
「オケアノス……」
「あ……そうだね。わたしの中にオケアノスがいるから……」
「アノオカタヲ、ウケイレロ」
「……うさちゃんを受け入れる?」
「アノオカタハ、ハルカムカシ、セイジュウヲ、スクッタ。スベテヲ、ステ、スベテヲ、アキラメテ……ナ」
「全てを捨てて全てを諦めた?」
それって?
「ソノ、オカゲデ、セイジュウハ、イキノビル、コトガ、デキタ。ダガ、ソノ、ダイショウハ、アマリニ、オオキ、スギタ」
「代償?」
「アノオカタハ、イチバン、タイセツナ、ソンザイヲ、ウシナッタ」
「一番大切な存在を?」
「ソウダ。キット、ソレヲ、オモイ、ダシタク、ナクテ、スベテヲ、ワスレタ」
「……え?」
「タエラレナカッタ、ハズダ。イトシイ、ムスメヲ、ウシナッタ、カナシミニ」
「愛しい娘を喪った悲しみ?」
「ペルセポネヲ、ムスメト、カサネ、アワセテ……スベテヲ、ペルセポネニ、ササゲタ……ノカ?」
「わたしに全てを捧げた……?」
「キット……ハルカ、ムカシ、ムスメヲ、タスケル、タメニ、ヤミノチカラヲ、マホウセキニ、イレヨウト、シテイタ、オケアノスニ、キョウカン、シタン、ダロウ」
「遥か昔、オケアノスに共感した? うさちゃんは闇の力を魔法石に入れさせようとして、魔法石と一体化したの?」
「ナニガ、シンジツカハ、ワカラナイ、ガナ」
「……その時に記憶も失った? うさちゃんは……娘さんを亡くしたの?」
「アア。アノコロノ、テンカイハ、ヒドカッタ。セイジュウヲ、モノノ、ヨウニ、アツカッテナ」
「そんな……」
かわいい聖獣達を物みたいに扱っていたなんて絶対に赦せないよ。
でも、その考えだといくつかおかしな点があるような……
わたしが卵の中にいた頃には攻撃された力を吸収できていたはずなんだ。
うさちゃんが護衛として連れてこられたのは、わたしが卵から孵った後だった。
それまで、うさちゃんは天界に隠してあったオケアノスの『力』の近くで寝ていたんだよね?
だとしたら、うさちゃんがわたしに『攻撃された力を吸収する能力』を譲れるはずがない。
うーん……
うさちゃんは遥か昔、オケアノスにその『力』を譲っていた?
でも、そうだとしたらオケアノスの『力』とうさちゃんの『力』は混ざり合ってひとつになった状態で天界に隠してあったはず。
そう考えると、うさちゃんの力だけがわたしの中にあるのは変だよね?
わたしが使っている『攻撃された力を吸収する能力』はうさちゃんから譲られた物じゃないっていう事なのかな?
うぅ……
また、分からなくなってきたよ。




