ベリアル、自分が重い男だと痛感する
今回はベリアルが主役です。
ヨシダのじいちゃん!?
いつからいたんだ!?
まさか、ずっと見てたのか!?
「リリーを好きな気持ちは分かるけどなぁ。いきなりグイグイいったら嫌われるぞ? 今のはかなり重かったしなぁ……」
じいちゃんが呆れ顔で話してるけど……
「え!? 嫌われる!?」
それは嫌だよ!
しかも、かなり重かったって!?
「昨日会ったばかりなのにいきなり一緒に暮らすなんて、やっぱり不安もあるだろ。しばらくはベリアルがこっちに通えばいいんじゃねぇか?」
じいちゃんがまともな事を言ってるけど……
「そうか……確かにそうかも……分かったよ。毎日遊びに来ても……いいか?」
これも重いかな?
「うん。待ってる。いつかわたしが勇気を出して第三地区に挨拶に行けたら……『これからベリアルと一緒に暮らすリリーです』って言える日が来たら……一緒に暮らしてくれる?」
「……! うん!」
「はぁ……勇気を出して言葉にして良かった。これからもベリアルと一緒にいられるんだね」
「毎日遊びに来るからな」
「うん。毎日モモの種に水をあげようね」
「うんっ! 早くかわいい芽が出ないかな。えへへ」
ドキドキする。
ワクワクする。
オレ……
これから毎日こんな風に幸せに暮らせるのか。
やっぱりオレはリリーに恋をしてるんだな。
世界がキラキラして見えるってこんな感じなのか?
じいちゃんもリリーもキラキラ輝いて見えるよ。
って……
ちょっと待て!?
これってぺるみの神力じゃないか!?
確か少し前にも同じような事があったよな?
嬉しかった時とか、オレの事がかわい過ぎて興奮した時とかに神力が溢れ出してキラキラって……
まさか、第三地区から水晶で見てたんじゃ……
オレが重過ぎる事を言ってリリーにドン引きされる姿をずっと見てたんじゃないよな!?
……帰りたくない。
ニヤニヤしながら根掘り葉掘り訊かれるぞ……
「リリー……オレ第三地区に帰りたくないよぉ。絶対バカにされるよぉ」
このまま、この島にいたいよぉ。
涙が溢れてきちゃったよぉ。
「ベリアル……涙が出るほど帰りたくないの?」
「だって、だって……第三地区の皆はこういう話が大好きなんだ」
「……よし」
「……? リリー?」
『よし』って……
どうかしたのか?
まさか……
こんな軟弱なオレとはお別れしようっていう『よし』なのか?
「ベリアル……わたし……」
うぅ……
やっぱり呆れられたんだ。
『強い男になりたい』とか言ってるけど、実際は弱虫だから嫌われたんだ。
「リリー……オレに呆れちゃったんだな……」
「違うよ! 今から一緒に第三地区に行こう!」
「……え?」
今……
なんて……?
「今から第三地区に行って『ベリアルをパートナーにさせてください』って話しに行くの!」
「え!? リリー!?」
島から出たくなかったんじゃないのか?
「ベリアルだけに辛い思いはさせられないよ!」
「リリー……」
なんて優しいんだ……
それに、頼もしい。
オレ……
どこまでもリリーに付いていくよ!




