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超絶かわいいヒヨコのベリアル、初めてお使いをする(2)

今回はヒヨコの姿のベリアルが主役です。

「あれ? アンジェリカのじいちゃん?」


 ブルーベリータルトに夢中で気づかなかった。


「ははは。ヒヨコ様は神々しく愛らしく、さすが聖獣様ですな」


 聖獣?

 そういえばそんな設定だったな。

 確か神の事を訊かれたら秘密にするんだよな。

 人間は神を敬っているらしいからな。

 あんなゼウスみたいな奴を……

 知らないって怖いよな。


「じいちゃんは、なんでここにいるんだ? さっきまで市場にいただろ?」


「はい。あのあと、またヒヨコ様にどうしても会いたくなりまして。わたしはヒヨコ様の虜なのです。ははは」


 確か、ベリス王が言ってたな。

 このじいちゃんには気をつけろって。

 ゼウスの事を訊かれても話しちゃダメだから!

 お菓子をもらっても話しちゃダメだから!

 絶対ダメだから!

 オレ、頑張れ!


「ヒヨコ様、こちらのイチゴのタルトもいかがですか?」


 ん?

 じいちゃんのお皿にはイチゴのタルトがあったのか?


「うわあぁ! イチゴだ! イチゴ!」


 イチゴのタルトをもらったけど、じいちゃんには気をつけるんだ!

 モグモグ。

 気をつけるんだ!

 モグモグ。


「ところで、ヒヨコ様は女神様にお会いした事は?」


 ん?

 女神様?

 確かデメテルの事だよな?

 天界の事は話しちゃダメだから……

 デメテルの事は秘密だ!


「知らない。モグモグ」


「そうですか……残念です……こちらのナッツのタルトはいかがですか?」


「うわあぁ! うまそうだな!」


「ところで、ヒヨコ様は女神様にお会いした事は?」


「あるぞ? モグモグ……あ!」


 オレのバカ!

 話しちゃダメなのに!


「公爵? もうそこまでにして? ヒヨコ様がかわいそうですよ?」


 ばあちゃん……

 どうしよう。

 オレ、話しちゃったよ。


「そうですな。ヒヨコ様、さあ、ナッツのタルトをどうぞ?」


 ナッツのタルト……

 うまそうだけど、食欲が無くなったよ。

 オレ、失敗しちゃった。

 もう第三地区には戻れないよ。

 またひとりぼっちになるんだ。

 

「ヒヨコ様? 涙……? 悲しいのですか? お腹が痛いですか?」


 ばあちゃん……

 心配してくれるのか?

 オレ、話しちゃダメって言われてたのにお菓子につられて話しちゃったよ。


「うぅ……オレ、オレ……失敗しちゃったから……またひとりぼっちになっちゃうよ……」


「ヒヨコ様……わたしのせいですか? ああ……わたしはなんて事を……」


 じいちゃんも心配してくれるのか?


「違うよ。じいちゃんのせいじゃないよ。オレが悪いんだ。いつも……オレがバカだから……」


「違います。わたしが女神様の事を尋ねたのが悪いのです」


「うぅ……嫌だよ。もうひとりぼっちになるのは嫌だよ……」


 涙が止まらないよ。

 天界にいた時みたいになるのは嫌だよ。


「悪い事をしてしまったら、謝れば良いのです。ヒヨコ様の大切な人達に心を込めて謝ればきっと赦してくださいますよ?」


 ばあちゃん?

 でも、天界の事を話しちゃったから……

 もうダメなんだよ。


「でも……でも……もう帰れないよ」


「ヒヨコ様……わたしは自分の産まれた国に捨てられました。もう帰る国は無いのです。暮らしていた宮にも育った地にも戻る事ができません。それはとても辛い事です。ヒヨコ様、わたしは何も聞きませんでした。どうか、ペリドット様の元にお戻りください」


 じいちゃん……

 皆、水晶で見ているんだから、そんな嘘つけないよ。

 それに、見られていなくても嘘なんてつきたくないよ。

 大切な皆には嘘なんてつきたくないんだ。

 

「もう帰れないんだ。大好きなのに……皆の事が大好きなのに……うわあぁん!」


 オレのバカ!

 オレのバカ!

 またひとりぼっちになっちゃうよ。

 

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