ベリアル、家族への愛と恋の違いを知る
今回はベリアルが主役です。
「……ベリアルは勇気を出してその空間から出たんだね」
リリーが辛そうに話してるけど……
「あ……いや、強制的に出されたんだ。でも……おかげでリリーに会えた」
あのままあの空間にいたらリリーに会えなかったんだな。
「……! ベリアル……わたしも……この島から出たら……変われるかな?」
「……リリー?」
「そうしたら……ずっとベリアルの隣にいられるかな?」
「……!? リリー!?」
ずっとオレの隣に!?
「わたし……ずっとベリアルと一緒にいたい。変だよね。昨日会ったばかりなのに」
「そ……そ……そんな事ない……ない。うん。ない……よな? あの……え? あの……それって……オレの事……す……す……」
好きって事か!?
「こんなに心を許せたのはベリアルが初めてなの。わたし達が似ているから……かな?」
あ、そういう事か。
もう少しで恥ずかしい思いをするところだった。
口に出さなくて良かった。
「オレも……リリーと一緒にいると……嬉しいっていうか……だから……離れたくないっていうか……」
「……ベリアル」
「変だよな。昨日までは……その……ぺるみの事が好き……だったのに……いや、違うな。今なら分かる。オレのぺるみに対する気持ちは……ずっと捜してた母親に会えた……そんな感じの心の温かさだったんだ」
だから、ぺるみが妊娠した事を知っても悲しくなかったんだ。
無事に産まれてきて欲しいって心から思ったし。
「……母親に対する気持ち。うん。分かるよ。わたしも……バニラちゃんに会った時……心が温かくなったから」
「……オレ達は……そっくりだ。ずっと寂しくてずっと誰かに愛して欲しかった……」
「これからは……それも変わる……だって……ベリアルがいてくれるから」
「運命の赤い糸……」
「……え?」
「グンマがある世界……異世界にそういう言葉があるんだってさ。見えない赤い糸で恋人同士の小指が繋がってるらしい」
「わたしとベリアルの小指も目に見えない赤い糸で繋がっているの?」
「だから引き寄せられたのかもな……」
「でも、恋人って……?」
「え? あ、そうか。えっと……パートナーって事だよ」
「わたしと……ベリアルが……パートナー?」
「あ……いや……えっと……オレ、今はヒヨコの姿だけど本当は天族なんだ。魔族は天族が嫌いなんだよな?」
「わたしは気にしないけど……ほら、オケアノスは元々天族だったし」
「それも知ってたんだな……リリーが……その……ヒヨコの姿じゃ嫌なら天族の身体を返してもらうけど……」
天族のオレの身体は天界に保管してもらってるんだ。
リリーがそれを望むなら、あの身体に戻っても構わない……




