ベリアル、バスケットを持ってお出かけの準備をする
今回はベリアルが主役です。
「ふわぁぁぁぁ……」
今、何時だ?
まだ外は暗いな。
一緒に寝てるゲイザー族とモフたん族はまだ起きそうにない。
「あら? ベリアルは早起きね」
ベットの中でオレの頭を撫でてくれるバニラちゃんの手が心地いい。
「えへへ。おはよう。行きたい場所があるんだ」
「ふふ。昨日果物をくれた女の子の所かしら?」
「うん。あれ? オレ、話したっけ?」
「ベリアルの事ならなんでも分かるわ。わたしは母親なんだから」
「……! そっか。母ちゃんってすごいんだな」
「ふふ。早く行かないと、スーたん達が付いて行きたがるかもしれないわ」
「そうだった。リリーはオレ以外の奴が苦手なんだ。モモを持って出かけてくるよ」
「いってらっしゃい。楽しんできてね」
「うん!」
こうしてバスケットを持ってモモ製造機に行くと……
ん?
雪あん姉は、こんな早くから畑仕事をしてるのか。
隣にいるのはウェアウルフか?
それにしては小さいな。
……って!
「ぺるみ!? 何してるんだ!? 妊婦なんだぞ!?」
昨日だって具合が悪そうにしてたのに!
「あれ? ベリアルは早いね。いつもは寝ている時間なのに」
「『早いね』って……大丈夫なのか!?」
「うん。早く目が覚めて、朝ごはんまで草むしりでもしようかなって思って」
「それで冥界からこんな早くに来たのか?」
「興奮……しているのかな? 二度寝できなくて」
興奮?
やっぱりお腹の赤ん坊の事が心配で眠れなかったのか……
「……ぺるみ」
「だって、今日も天界の使者の入門申請書が出されているんだよ。ほらあれって二日前に出す物だから。昨日わたしに弱みを握られてシモ……いや……だから楽しみだなぁって」
今、弱みを握られて使者がシモベになったって言おうとしたんじゃ……
今日冥界に使者が来たら徹底的に上下関係を教えてやるつもりなのか。
本当に恐ろしいな。
でも、お腹の赤ん坊の事は大丈夫なのかな?
昨日はあんなに辛そうだったけど……
ぺるみの事だから無理してるんじゃないか心配だ。
でも、オレがそれを口に出したらまたぺるみが悲しむよな。
「そうか……」
「ベリアル。わたしは大丈夫。心配してくれてありがとう。でも、流れに身を任せるって決めているから」
こんな時までオレに気を遣うなんて……
優し過ぎるだろ。
「ぺるみ……うん。ぺるみがそう決めたのにオレがこんな顔をしてたらダメだよな……」
「ところで、バスケットを持ってお出かけなの?」
「うん。あ……えっと……」
どうしよう。
ぺるみが付いて来たがったら……
リリーが嫌がるかな?
でも……
でも……
「もしかしてデート? ふふ。いってらっしゃい」
え?
デート?
デートって、あのデートか!?