ハデスとぺるみの赤ん坊……?
今回はベリアルが主役です。
はぁ……
じいちゃんはぺるみの赤ん坊に魂が入るって言ってたけど、本当に無事産まれてくるんだよな?
同じような時期にイナンナには元気な赤ん坊が産まれて、ぺるみには産まれてこないなんて辛過ぎるよ。
なんとかして、双子の赤ん坊の片方にオレが入る事を許してもらわないと。
でも、そうなるともう片方の赤ん坊に入るのは誰なんだろう?
うーん……?
「ベリアル……ありがとう。果物がおいしくてすごく元気になったよ」
ぺるみが嬉しそうに話しかけてきたけど……
「そうか。良かった」
顔色が良くなったみたいだ。
「これで明日も天界の使者の相手ができそうだよ」
「え? お前……しばらくは休んだ方が……」
「大丈夫! ベリアルのおかげですっかり元気になったから。それに……ふふふ。さっき天界に行ってきたの。クソな使者の弱みを握る為の証拠を集め終わってね。はぁ……ようやくこの時がきたんだよ。毎日毎日コツコツコツコツ証拠集めをしてきた甲斐があったね」
「……え? お前……その身体で何をしてきたんだ?」
「ふふふ。クソな使者にこっそり会ってきたの。それで、今までそいつらがしてきた悪事を耳打ちしたらすっかり大人しくなったよ」
「お前……やってる事が怖いぞ」
「血を流さずに済んで良かったよ。あはは!」
「うわ……ハデスより質が悪いかも……」
「ああ……今まで頑張ってきて良かったよ。あはは!」
「……今まで何を頑張ってきたんだ?」
「天界の使者の弱みを握る事……かな?」
「……これが神の娘……このままいつか、天界を牛耳ったりして……」
「あはは! わたしは冥界で暮らしているんだから天界を欲しがったりはしないよ。ただ冥界をリゾート地にしようとしている使者を黙らせたかっただけだし」
「こいつ……怖……」
天界で暮らしてた頃はこんなんじゃなかったのに……
もっと可憐で弱々しくて、こんなに図太くなかったはず。
やっぱりハデスと結婚したからこんな風になったんだな。
このぺるみとハデスの子……
絶対恐ろしい子に育つだろ。
オレがぺるみの赤ん坊の中に入ったら、こんな風に他人の弱みを握るような怖い子になるのか?
あの暗殺好きの恐ろしいハデスをパパと呼んで、使者の弱みを握ってニヤニヤ笑うぺるみをママと呼ぶのか。
……想像するだけで恐ろしいな。
真っ直ぐな子に育つのか?
怖い……
怖過ぎるよ……




