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超絶かわいいヒヨコのベリアル、初めてお使いをする(1)

今回はヒヨコの姿のベリアルが主役です。

 オレは今、人間だった頃のぺるみのばあちゃんの邸宅に一人で来ている。

 ぺるみは暴走したハデスを落ち着ける為にどこかに空間移動した。

 二日くらい練習しただけなのに空間移動を簡単にできるようになるなんて、やっぱり、ぺるみは神の娘なんだな。

 いや、ハデスの鍛錬が激しかったからか?

 

 ん?

 この部屋の中からばあちゃんの気配がするな。

 確か、ココとアンジェリカには秘密にするんだっけ?

 扉の鍵穴から中を覗いてみるか。

 うーん。

 よく見えないな。

 お?

 中にばあちゃんがいるぞ?

 いつもばあちゃんの側にいる人間も何人かいるな。

 でも、ココとアンジェリカはいないみたいだ。

 ん?

 今、ばあちゃんが手に持ったお菓子はなんだ?

 ブルーベリーの匂いがするぞ?

 

「ばあちゃん! オレも食べる!」


 早く扉を開けないとお菓子を食べられちゃうよ!

 あれ?

 この扉のノブ、ツルツルして開けられない。

 今はヒヨコのパンみたいな手だからな。

 どうしよう。

 とりあえず、扉を叩くか。


 トントントン


 うう……

 大きい音が出ないよ!

 このままじゃ全部食べられちゃうよ。


「ばあちゃん! ばあちゃんってば! 開けてよ!」


「あら? かわいい声が聞こえたわね?」


 お?

 ばあちゃんがオレの声に気づいたみたいだ!

 よし!

 もう少しだ!


「ばあちゃん! オレだよ!」


 トントントン


「早く開けてよ! お菓子が食べたいよ!」


「お菓子? 扉を開けて? ふふ。かわいいお客様が来たみたいよ?」

 

 いつもばあちゃんの側にいる人間が扉を開けると、中にばあちゃんが見える。


「ばあちゃん! お腹空いたっ!」


 ばあちゃんの膝に飛んで行くと優しく抱きしめてくれる。


「うふふ。ヒヨコ様、今日も愛らしいですね」


「ばあちゃんは今日も優しくて良い匂いだな! このお菓子食べてもいいか?」


「もちろんです。ふふ。ヒヨコ様のかわいいおててでは持ちにくいでしょうから、わたくしが口元に運びますね?」


「うん! うわあぁ! ブルーベリーだぁ! いただきますっ。モグモグ。うまあぁぁぁい!」


 うまいよぉ!

 甘酸っぱいブルーベリーと濃厚なクリームが最高にうまい!

 生クリームじゃなくてバタークリームなんだな。

 第三地区はいつも生クリームだから。

 今度ぺるみにバタークリームのケーキを作らせよう。

 でも、変態ぺるみは見返りを要求してくるからな。

 気をつけないと。


「なぁ、ばあちゃん、これカップケーキか? 今度ぺるみに作らせるのに名前を知らないんだ」


「ぺるみ……ですか? これはブルーベリータルトですよ? ふふ。お口の周りにクリームが……」


「あ! オレ、大事な話があったんだ! お使いなんだ! モグモグ」


「まあまあ。ふふ。ヒヨコ様はお使いができて偉いですね」


「オレ、偉いか? モグモグ」


「はい。とても偉いですよ?」


「えへへ。オレは偉いのか。モグモグ」


「ふふ。ヒヨコ様は福の神のようですね」


「福の神? モグモグ」


「はい。ヒヨコ様が幸せを運んでくださるのですよ?」


「オレが幸せを? よく分からないな。何も運んできてないぞ? 幸せって目に見えるのか? 見た事ないぞ? モグモグ」


「ふふ。幸せは目に見える事もあるのですよ? 例えば……大好きな人達が笑っている姿を見ると嬉しくなりませんか? それが幸せです」


「うーん。確かに皆が笑っているとオレも嬉しくなるぞ? モグモグ」


「それが幸せですよ? ヒヨコ様は幸せなのですね」


「オレが……幸せ?」


 天界にいる時は幸せが何かなんて考えた事が無かったけど。

 これが幸せなのか。

 心があったかくて気持ちいいな。

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