ベリアルとリリー島の魔族(4)
今回はベリアルが主役です。
「別に嫌な気持ちにはならないぞ。だって、考えてる事と口から出る言葉は同じだし」
オレには難しい事はできないからな。
「……! そうか。そうだな……ベリアル……ありがとう」
リリーが悲しそうに微笑んでるけど……
「……? ありがとう?」
「……一緒にモモを食べてくれるんだろ?」
あ、モモの事か。
「うん! えへへ。ナイフを持ってきたんだ。最近皮を剥けるようになって……でもパンみたいな翼だから上手くはできないんだよな」
「あはは。確かにかわいい翼だからな。じゃあ、わたしが剥くよ。果物の皮は毎日剥いているからな」
「ありがとう! うわあぁ! リリーは本当に上手いな!」
すごい!
全然実を無駄にしない剥き方だ!
「毎日色々な果物の皮を剥いているからな。とりあえず半分に切るか? うわぁ……大きい種だな」
「うん。えっと……確か種を植えると三年で実がなるらしいぞ」
「へぇ。三年か……あっという間……なのか? それとも長いのか……」
「リリー?」
「不思議だな。この数千年……すごく長かったが……短くもあった。子孫繁栄の実ができる頃以外ずっと独りで……魔族が来ると一年経ったのかと思う。毎年それの繰り返しだった」
「寂しいのか?」
「わたしの心がそれを望んでいるのさ。誰もいない何も聞こえてこない空間を……な」
「誰かの顔を見ると占いで色々分かるからか?」
「知りたくない事ばかりだ。知りたくない事を知ると辛くなるだろう?」
「……オレといてもそう思うのか?」
「……ベリアルは違う。嫌な事を考えないから」
「……よく分からないけど……でも……独りの悲しさは知ってる。皆には家族がいて……でも……オレにはいなくて……幸せそうな誰かの姿を見ると嫉妬して……すぐに辛くなる。耳の奥がシーンってなって涙が出てくるんだ」
「絶望するほどの孤独……か」
「……そうだな。寂し過ぎて……『母ちゃんが迎えに来てくれるからもう少しの我慢だ』って思いながら自分を慰めたんだ。でも……結局迎えには来てくれなかったけどな」
「……わたし達は似ているな」
「……そうか。そうだな。……リリー?」
「……ん? なんだ?」
「これからは毎日モモを持ってくるから。毎日一緒に食べて話をしよう?」
「……そうか。他の奴なら嫌だけど……ベリアルならいいかもな……」
「……うん! あ、そうだ。このモモの種を植えよう。三年後、大きく育ったモモを一緒に食べるんだ!」
「……はは。毎日世話をして三年後に一緒に食べるのか」
「うん! 絶対甘くて旨いモモができるぞ!」
「ベリアルが言うと本当にそうなりそうだな」
「えへへ。リリー? オレの友達になってくれるか?」
「友達……? 友は……初めてだ」
「じゃあオレが最初の友達だな!」
えへへ。
ずっとずっと仲良しの友達でいたいな。




