ベリアルとリリー島の魔族(3)
今回はベリアルが主役です。
「……ぺるみの事が好きなんだな」
リリーが真剣な表情で尋ねてきたけど……
「そんな事まで占いで分かるのか!?」
すごいよ!
なんでも分かるんだな。
「……まぁ、そんなところだ」
「……好きだ。大好きだ! でも……ぺるみにはハデスがいるから。ハデスは怖いけど良い奴なんだ。不器用だけど、差別をしない真っ直ぐな奴なんだ」
「へぇ。そうか……前ヴォジャノーイ王……か」
「そんな事まで分かるのか!?」
「……ベリアルは騙されやすいだろ」
「え!? そんな事まで分かるのか!?」
「ぷっ! あはは!」
「え? 何がおもしろいんだ?」
でも……
笑った顔がすごくかわいい……
「笑わせてもらったから良い物をやるよ」
「……え? 良い物?」
「身体が丈夫になる果物だ。これは効くぞ。栄養たっぷりなんだ」
「いいのか? うわあぁ! ありがとう!」
見た事ない形だな。
四角くて真っ黒だ。
オレと同じくらいの大きさか。
甘くて良い匂いだなぁ。
「皮は黒いけど中身は白いんだ。つわりなら白いところを食べさせろ。黒いところは少し固いからな。でも皮も食べられるから残りは第三地区の皆で食べるといい」
「うん! ありがとう! あ、そうだ。お土産があったんだ。これは第三地区から持ってきたモモだ。甘くて旨いんだ」
「へぇ。これが噂のポセイドンのモモか」
「え? ポセイドンを知ってるのか? あ、そうか。オレの顔を見てそこまで分かったんだな。リリーはすごいなぁ」
「……ベリアルは、そんな感じでよく無事に生きてこられたな」
「ん? 何がだ? そうだ! 一緒に食べよう! 一人で食べるより二人で食べた方が旨いんだ!」
「……そうだな。わたしは果物と野菜だけを食べて暮らしているんだ」
「へぇ。そういう魔族もいっぱいいるみたいだな」
「……そうだな。時代は変わった。遥か昔はわたしみたいに人間を食べない魔族は差別されたんだ」
「そうか。その頃の魔王は人間を食べない魔族を許さなかったらしいな」
「そうだ。わたしと両親は、子孫繁栄の実を作り続ける事を条件に生かしてもらったんだ」
「今はそんな悪い魔王はいないぞ! そうだ! 第三地区の隣にこの島ごと移動してこいよ! 絶対楽しいぞ!」
「……いや、おもしろそうだが……わたしは誰もいない方が気が楽なんだ。あ、もちろんベリアルといるのは楽しいが……」
「そうなのか?」
「あぁ……誰かがずっと近くにいると……心が傷ついてしまうんだ」
「……え? あ、そうか。顔を見ると占いで色々分かるから辛くなるんだな」
「……ベリアルは優しいな。わたしの事が気味悪くないのか? 心を聞かれているみたいで嫌な気持ちにならないのか?」
リリーは、占いの力のせいで苦しんできたのかな?