ベリアルとこたつと吉田のおじいちゃん(3)
今回はベリアルが主役です。
「何かないかな? 栄養がいっぱいの果物……」
できれば旨い物がいいな。
「うーん……ベリアルは、リリー島を知ってるか?」
ヨシダのじいちゃんが尋ねてきたけど……
「リリー島? 子孫繁栄の実がある島だよな?」
「そうだ。あそこには、いろんな果物があるんだ」
「そうなのか? 話には聞いた事があるけど、行った事はないんだ。ゴンザレスがリリー島は危ないから行きたくないって言って……」
「あの島で果物を育てている魔族は……気が荒い? からなぁ」
「そうなのか?」
「いつか、ぐりほんの兄ちゃんがぺるぺるに子孫繁栄の実を持ってきたんだけどなぁ……あの時もかなり苦労したみてぇだなぁ」
「グリフォン王だったのに苦労したのか? そんなに強い魔族が果物を育ててるのか……」
「無理そうだったら……やめておくか?」
「……やめない! やめないよ! ぺるみに健康でいて欲しいから!」
「そうか、そうか」
「早速今から行ってくる!」
「一人で行くんか? ゴンザレス達は?」
「危ない所なら皆を巻き込みたくないから!」
「……ベリアルは立派だなぁ」
「よし! 出発だ!」
ちょっと怖いけどぺるみの為なら頑張れる!
……いや、かなり怖いかも。
うぅ……
偉そうに『巻き込みたくないから』なんて言ったけど……
やっぱり怖いよ。
「待て待て。よそ様の島にお邪魔するんだから手土産を持っていかねぇとなぁ」
「手土産?」
手土産か。
リリー島の魔族が気に入る手土産を持っていけば優しくしてくれるかも。
「あの島で育ててねぇ果物を持っていったらどうだ?」
なるほど。
でも何を育ててないか分からないよ。
「うーん……何がいいかな?」
「桃を持っていけばいい。いいか? 桃栗三年柿八年って言ってなぁ桃は種を植えて三年で実がなるんだ」
「そうなのか?」
「旨い品種は種じゃなくて接ぎ木や挿し木で増やすんだけどなぁ。第三地区の桃はポセイドンの桃製造機から出てくるからそれができねぇんだ」
「じゃあリリー島にモモの種を植えても旨いモモにはならないのか?」
「どうだろうなぁ。リリー島の魔族は果物を上手に育てられるからなぁ」
「そっか。じゃあ、いっぱいモモを持っていくよ。そうすれば種もいっぱいになるから!」
「そうだなぁ。じゃあバスケットにいっぱい桃を入れていけ」
「うん!」
さすが、じいちゃんだ!
頼りになるよ。
でも付いてきてはくれないんだな。
なんて……
ダメだ!
ダメだ!
ぺるみに元気になってもらう為に頑張るんだから。
誰にも頼らずに勇気を出して栄養のある果物をもらってくるんだ。
頑張るぞ!