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ベリアルとこたつと吉田のおじいちゃん(2)

今回はベリアルが主役です。

「じいちゃん……?」


 何か話しにくい事なのか?


「あぁ……そうだなぁ……じいちゃんは……また、やっちゃダメな事をしてきちまった」


 やっちゃダメな事?

 ヨシダのじいちゃんが悲しそうだけど、少し安心したように微笑んでいる?


「……え?」


「これは、じいちゃんとベリアルだけの秘密だ」


「秘密……?」


 じいちゃんは何かしたのか?

 一体何を?


「じいちゃんは、ほんの少しだけ未来を見てきたんだ」


「……未来を?」


「詳しくは言えねぇけど……未来のぺるぺるは笑ってたぞ」


「……え?」


「未来は変わる事があるから、じいちゃんが見てきた未来が現実になるかは分からねぇけどなぁ」


「……じゃあ……ぺるみの赤ん坊は……」


「これ以上は言えねぇけどなぁ。でも……」


「でも?」


「ぺるぺるの妊娠を喜んでやらねぇと、お腹の赤ん坊が悲しむだろ? 赤ん坊は皆に喜ばれて産まれてこなきゃなぁ」


「……じいちゃん」


 本当に無事に産まれてくるのか?

 でも未来を見てきたって言ってるし……


「できるか? 腹の中の赤ん坊をかわいがれるか?」


「……うん。オレ、じいちゃんを信じるからな? ぺるみの赤ん坊が無事に産まれてくるって信じるからな?」


「……皆で見守ろうなぁ」


「ぺるみにだけ教えたらダメか?」


 そうすれば安心させてあげられるのに。


「ベリアル……さっきも言ったけどなぁ、未来は変わる事がある。それに、これから起こる事を先に知らせるのは良くねぇと思うんだ」


「良くないって?」


「……ぺるぺる自身が苦しみ抜いて……ぺるぺるの赤ん坊に入る魂も苦しんで前に進んだ未来なんだ。それを先に知っちまったらダメなんだ」


「じいちゃん?」


「だから、これはじいちゃんとベリアルだけの秘密だ」


「難しくてよく分からないけど……そうしないといけないんだな?」


「そうだなぁ」


「うん! 分かった! 静かに見守るよ! それと毎日お腹の中の赤ん坊に大好きって言うんだ!」


「そうか、そうか。ぺるぺるは気を遣うからなぁ。腹の子に魂がねぇ事を皆に秘密にするはずだ。ベリアルも知らねぇ振りができるか?」


「うん……できる! ぺるみがそれを望むなら!」


「そうと決まれば……」


「そうと決まれば?」


「妊婦さんにはカルシウムが必要だ!」


「カルシウム? なんだ? それ」


「骨が丈夫になるんだ」


「骨? 骨が丈夫になると良い事があるのか?」


「そうだなぁ……元気な赤ん坊が産まれてくるんだ」


「元気な赤ん坊が? ぺるみの赤ん坊が無事に産まれてくる事は秘密にしないとだけど……でも元気に産まれてこないとダメだから……」


「難しく考えなくてもいいんじゃねぇか?」


「え?」


「妊娠は男にはできねぇ大仕事だ。腹の中で赤ん坊を育てるなんてすごいよなぁ」


「そうだな。ハーピーは日に日に大きくなるお腹を見ながらずっとニコニコしてたよな。すごく幸せそうに見えた……」


 ぺるみにもあんな風に笑って欲しかったな……


「腹の中にいる赤ん坊に栄養を取られるから母親は骨が脆くなりやすいんだ」


「そんな! ぺるみの赤ん坊は双子なんだ。いっぱい食べさせないと!」


「ははは! でも食い過ぎもよくねぇんだ」


「うーん。難しいな」


「今は、つわりで苦しそうだしなぁ」


「ヨーグルトなら食べられるかな?」


「そうだなぁ。さっきも食べたそうにしてたしなぁ」


「じゃあ毎日ヨーグルトを作るよ!」


「そうか、そうか」


「でも、毎日モモのヨーグルトだと飽きるかな?」


「桃は旨いけど確かに毎日は飽きるかもなぁ」


 やっぱりそうか。

 他に何か旨い果物はないかな?

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