覚悟と突きつけられた現実(1)
今回はハデスが主役です。
ペルセポネは大丈夫だろうか。
かなり顔色が悪かったが……
やはりわたしが天界の使者の相手をした方がよさそうだ。
ペルセポネだけを残し外に出てきたが……
「……ハデスちゃん」
おばあさんが深刻な表情で話しかけてきた?
まさか……
ペルセポネの具合がかなり悪いのか?
「おばあさん……?」
「……落ち着いて聞いてくれ」
落ち着いて聞け?
……悪い病という事か?
そんな……
「ばあちゃん? どうしたんだよ。ぺるみの具合が悪い理由が分かったのか?」
おばあさんに抱かれているベリアルが心配そうに話しているが……
「……ベリアル。そうだなぁ。めでたい事なのに……」
めでたい事?
明らかに状況が悪そうに感じるが……
「おばあさん……」
デメテルが辛そうに話しかけた?
「デメテル……恐れていた事が起きたなぁ」
おばあさん?
恐れていた事とは?
「こんな事……ペルセポネには話せないわ。なぜペルセポネばかり辛い思いをしなければならないの? こんなに世界の為に頑張ってきたのに」
「……そうだなぁ」
何の話をしているのだ?
「デメテル? 分かるように話してくれ」
一体、ペルセポネに何が起きているのだ?
「ハデス……そうね。ごめんなさい。あぁ……何から話したらいいのかしら」
「そんなに悪い状況なのか?」
「……あの時と同じよ」
「あの時? それは?」
「わたしが妊娠した時もお腹が膨らむまで気づかなかったの。天族は妊娠するとすぐに気づくのに……魂がないとそうなるようね」
「妊娠……?」
「……ペルセポネのお腹に……赤ん坊がいるのよ」
「……!? 妊娠したのか!?」
わたしとペルセポネに子が……
だが、デメテルのこの様子……
あぁ……
そうか……
「ハデス……残念だけど……」
「……魂が……ないのだな……」
「……ペルセポネもそうだったの。でも、ヨシダさんがオケアノスの魂を入れてくれたから……死産にはならなかった……」
「……わたしもペルセポネも……初代の神とその妻の……ヨシダさんとおばあさんの血を引いている。強過ぎる神力に耐えられる魂が……ないのだな……」
「ええ。卵が産まれても……中にいる赤ん坊は……生きては出てこないわ……」
「……なんとか……魂を見つけられないか? この事をペルセポネに知られる前に……なんとか……」
「……一人だったら……なんとかなるかもしれねぇ……でも……」
おばあさんが辛そうに話しているが……
一人だったらとは?
「おばあさん……?」
「双子だ……」
「双子!?」
双子……
双子……?
わたしとペルセポネは……
二人も子を喪わなければならないのか?




