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やられた分は、やり返したいよね

「ハデスと話したの。もし魂のない子が産まれてきても……覚悟はしておこうって」


 想像するだけでも辛いけど……


「そんな……覚悟なんて」


 ベリアルに悲しそうな顔をさせちゃった。


「ごめん。こんな話をして……」


「産まれる前からそんな事考えるなよ!」


「ベリアル……そうだよね……ごめん。まだ妊娠もしていないのに……気が早過ぎるよね」


「大丈夫だ! ハデスとぺるみの子なら絶対に大丈夫だ! 死産になんてならないから!」


「……ありがとう。えへへ。元気が出たよ。それに、こんな事は妊娠してから考えないと。わたしのお腹に来てくれるはずの赤ちゃんが逃げちゃうよね」


「……ぺるみ。大丈夫だ! 大丈夫だから! ヨシダのじいちゃんもばあちゃんもいるんだから! 絶対になんとかなるから!」


「うん……うぅ……気持ち悪……」


 吐き気が酷い……

 パパに薬を作ってもらおうかな。


「ペルセポネ! 大丈夫か!?」


 ハデスが慌てて部屋に入ってきたけど……


(大変だ。こんなに顔色が悪い……まさかファルズフの毒が……いや、だが……ああ……どうしたら……)


 ハデス……

 普段は聞かないようにしている心が流れ込んでくる。

 初めて天界の使者の相手をした日にかなり手こずって、その日の夕方おばあちゃんに預けていた『心を聞く力』を返してもらう事になったんだよね。

 使者以外の心を聞かないように気をつけていたんだけど、ハデスの想いが強過ぎて流れ込んできたみたいだ。


「大丈夫。食べ過ぎちゃったみたい。ハデスは何かしていたんだよね。時間は平気?」


「もう用は済んだ。それよりも……かなり辛そうだ」


(レオンハルトを亡き者にしようとしていた愚か者を、逆に亡き者にしてきただけだからな)


 うわ……

 聞きたくなかったけど……

 レオンハルトを狙う人間がいたっていう事?

 前の王様の関係者かな?

 他にレオンハルトを消そうとする人間はいないはずだし。

 もしかしてレオンハルトがプルメリアの血を引いていない事を知っていたとか?

 うーん……?

 公爵家が王座を奪おうとしているみたいな事を言っていたような。

 うぅ……

 気持ち悪くて難しい事を考えられない。


「……少し眠ればよくなるはずだよ」


「天界の使者の相手は、しばらく休んだほうがいい。明日からはわたしが……」


 それだけはダメ!

 使者は冥界をリゾート地にする為にわたしに会いに来ているんだから。

 もしハデスの耳に入ったら使者がどうなるか……

 いや、確実に暗殺されるよ!


「大丈夫! 今の話し合いも、もう少しで解決しそうだし。最後までやりとげたいの」


 心を聞いて、天界の使者が今までしてきた悪事を書き出したんだ。

 次から次に出てくる出てくる……

 ノート一冊じゃ足りなかったよ。

 少し前に心を聞いた時は今思っている事しか聞こえてこなかったけど、レアーおばあ様に心の奥深くを聞く方法を習ったんだ。

 それと、天族がしてきた悪事が書いてあるノートをブラックドラゴンのおじいちゃんからもらったんだよね。

 もう少しで証拠を集め終わるところだっていうのに、今ハデスが天界の使者の相手をしたらその努力が無駄になっちゃうよ。

 確かに邪魔者を消すのは簡単だけど、わたしは弱みを握って従わせる道を選んだ。

 まぁ、卑怯かもしれないけど命を奪われるよりはいいはずだよ。

 これからは、あの生意気な使者達をわたしの意のままに……

 って、これじゃ悪者みたいか。

『冥界をリゾート地に』なんて二度と言わないようにしっかり管理させてもらうよ。

 ふふふ。

 今まで好き勝手言ってきた借りをしっかり返させてもらうからね。

 

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