ベリアルとは遥か昔同じ身体にいたんだよね
「そうだね。遥か昔、わたしとベリアルはオケアノスだったんだよね」
だからかな?
ベリアルの事がかわいくて堪らないんだ。
「不思議だな。またこうして巡り会えた。って言ってもオレには、なんの記憶もないけどな」
ベリアルはオケアノスの中にいた頃の記憶がないんだよね。
天界にいた頃は辛かったみたいだけど、今はどうなんだろう?
「ベリアル……?」
「ん?」
「幸せ?」
「そうだな。すごく幸せだ。いつも満腹で、いつも誰かにかわいがってもらって……天界にいた頃はこんな事はなかったから」
「……そう。ベリアルは……お母さんを捜しているの?」
さっきイナンナに訊いていたけど……
「……いつか迎えに来てもらえると思ってたんだ。でも、そんな事はなかった。オレは……いらない子だったんだろうな」
「わたしは……ベリアルの事が大好きだよ。オケアノスの感情がなかったとしても、その気持ちがなくなる事はないよ」
「……そっか。ありがとな。誰かに好きだって言われると心が温かくなるよ」
「分かるよ。わたしもそうだから」
「オレ……ぺるみの事……」
ベリアルが何かを話しかけてやめたけど……
話しにくい事なのかな?
無理に訊かない方が良さそうかも。
もしかして嫌な事を思い出させちゃったかな?
「ベリアル……大丈夫?」
「あ……いや……」
やっぱり話しにくいんだね。
まさか……
『ど変態のバカぺるみ』とか言いたいの?
今はわたしの身体が辛そうだから言うのを我慢しているとか?
「早く元気になれよ」
ベリアルが悲しそうにしている?
心配してくれるんだね。
ありがたいよ。
「うん。少し寝れば大丈夫」
早く元気になってベリアルを安心させてあげないと。
「ぺるみみたいな母親だったら……」
「……え?」
今『わたしみたいな母親だったら』って言ったの?
「あ……いや、オケアノスの母親はばあちゃんだろ? でも、オレにはオケアノスの頃の記憶はないから。天族のオレには母親がいなくて……だから、ぺるみみたいな母親だったら良かったなって……」
そういう事か。
でも……
「わたしは変態なのに? わたしでいいの?」
「ぺるみは確かに変態だけど……家族をすごく大切にするだろ? 何があってもオレを捨てないって分かってるから安心できるんだ」
「ベリアル……」
「ぺるみに子が産まれたら、その子は幸せになるんだろうな」
「あ……」
わたしとハデスの赤ちゃん……か。
「ぺるみ?」
やっぱりわたしの赤ちゃんには魂が入らないのかな?
そうなったら死産になるんだよね?
「あ……うん。ごめん。……わたしの身体には魂がなかったの。身体に合う魂がなくて、わたしの身体に入りたい魂が何百と消滅したんだって」
「そうらしいな」
「わたしとハデスの赤ちゃんも……」
「……え?」
「あ……うん……もしかしたら……魂がない子になるかもしれないな……なんて」
「ぺるみ……」
こんな話……
ベリアルにはしたくなかったけど……