調子に乗って食べ過ぎると胃もたれするよね
「うぅ……気持ち悪い……」
朝ごはんを食べ過ぎたかな?
天界からの使者の相手をするからって、どんぶり三杯おかわりしたから……
あとワッフルとアップルパイと桃のタルトと……
あれ?
かなり食べていたね。
その後に使者とやり合って、レオンハルトとアンジェリカちゃんの幸せな姿を見て……
屋台でクッキーとパンも食べたっけ。
胃が疲れているのかな?
「ぺるみ……大丈夫か?」
おばあちゃんの布団で横になっていると、ベリアルが心配そうに話しかけてくる。
「……うん。食べ過ぎちゃったみたい」
「そうか。おやつは食べられそうか?」
あれ?
パンみたいなかわいいおててに何か持っているね。
枕元に座り込んで心配そうにわたしを見つめている。
「ううん。やめておくよ。ベリアルは食べてきて」
「……ヨーグルトを持ってきたんだ。モモをいっぱい入れたから……食べられそうか?」
色々な大きさの桃が入っているけど……
「もしかしてベリアルが作ってくれたの?」
「ヒヨコの姿だから上手く切れなくて……でも、味は旨いぞ」
「ありがとう。すごく嬉しいよ」
でも、今は無理かな……
「ぺるみ……心配だよ。ぺるみはいつも元気いっぱいなのに……本当に大丈夫なんだよな?」
「ふふ。大丈夫。少し疲れが出たみたい」
「そうか。今、じいちゃんがハデスを連れてくるって言って出かけたからな」
「ハデスを? また心配させちゃうね。はぁ……ケルベロスはすごいよ。門番だけじゃなくて使者の相手もしていたんだから」
「ぺるみの今の身体はファルズフの毒にやられてたんだから無理だけはするなよ」
「ベリアルは優しいね」
「オレは……優しくなんかない……」
……?
ベリアルが悲しそうな表情をしている?
「優しいよ。ベリアルは、すごくすごく優しいよ」
「オレの罪は消えないから……」
ベリアルの罪?
あ……
陽太お兄ちゃんの事かな?
「……ベリアル」
「ヨータを無理矢理この世界に連れてきて苦しめた罪は消えないから」
やっぱり……
でも……
「わたしも……忘れないよ」
「……え?」
「わたしの魂を入れる身体を作る為に集落の皆を巻き込んだ事。イナンナとブラックドラゴンのおじいちゃんを苦しめた事。わたしが生きる事を諦めたからお父様とお母様を泣かせてしまった事。そしてルゥの身体を使ってしまった事。全部全部絶対に忘れない」
「……オレ達は似てるな」
ベリアルが悲しそうに呟いた。
そうだね。
わたし達は過去に、大切な人を酷く傷つけているんだ。