表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1399/1484

ベリアルの物語(4)

今回はベリアルが主役です。

「無意識に……か。人間がオレをかわいがるのはオケアノスが溺愛していた存在だから……なのか?」


 オレがかわいいからだと思ってたんだけど。


「分からねぇなぁ……何が真実なんだろうなぁ」


 ヨシダのじいちゃんにも分からない事があるのか……


「そっか。まぁ、実際オレはかわいいから、かわいがられるのも当然だけどな」


「ははは! そうか、そうか。ん? ベリアルは、いつの間にかスノーボールクッキーを食い終わってたんだなぁ」


「うん! 旨かったよ! ありがとう、じいちゃん。オレ……誰かの役に立ててたんだな」


「あぁ。ベリアルは立派だ。偉いぞ。偉くてかわいくて最高だ。ははは!」


「そっか……天界にいた頃とは全然違う。えへへ。オレ、この世界に来て良かった。こんな温かい気持ちを知れたのはこの世界に来てからなんだ。……いや、違うかな? うーん……」


「んん? どうかしたんか?」


「うん。遥か昔、天界でひとりぼっちだったオレにお菓子をくれた女の子がいたんだ。でも、よく覚えてなくて。思い出そうとするとボーっとするんだ……」


「そうなんか?」


「あれは夢……だったのかな?」


 あまりに辛過ぎて、助けてくれる誰かを妄想してたのかも。


「ふふ。夢じゃないわ」

 

 イナンナ……?

 帰ってきてたのか。

 イナンナは第三地区に帰ってきてから、ブラックドラゴンだったじいちゃんと一緒に浮遊島を創って移り住んだんだ。

 ぺるみの神力で浮く小さい島……か。

 遥か昔叶わなかった幸せを今手に入れたんだな。

 ドワーフのじいちゃんと島創りをしてる時はすごく楽しそうだった。

 三か月くらい帰ってきてなかったけど……


「イナンナ? 夢じゃないって……?」


「その女の子はわたしだから」


「……え? どういう事だ?」


「幸せそうね。ベリアル……」


「イナンナ……えっと……その頃の事はよく覚えてないんだ」


「昔の事だし……仕方ないわ」


「どうして毎日お菓子をくれたんだ?」


「……ベリアルが死んでしまいそうなほど空腹だったからよ」


「……イナンナ?」


「あの頃ベリアルはひとりぼっちで、保護者もいなかった。天界は厳しい場所よ。保護者のいない子が一人で生きていくのは無理なの」


「だから、オレに食べ物を?」


「……わたしだけではないわ」


「え……?」


「クロノス……」


「クロノス? ハデスの父ちゃんの?」


「……そうよ。クロノスもベリアルに食べ物を渡していたの」


「クロノスが? 何の記憶も無いけど……」


「そうでしょうね。クロノスがその記憶を消したのよ」


 記憶を消した?

 遥か昔、何があったんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ