ベリアルの物語(2)
今回はベリアルが主役です。
「あはは! 聖獣王は、あれでもすごく強いらしくてね。吉田のおじいちゃんに怒らせたらダメだって言われているの」
ぺるみが笑いながら話してるけど……
全然そんな風には見えないぞ。
「ふぅん。じいちゃんが言うならそうなんだろうな」
「おばあちゃんと吉田のおじいちゃんが毎日タルタロスに行っているでしょう?」
「そうだな。コットス達とクロノスに会いに行ってるんだよな」
「聖獣王は、コットス達へのお土産のお菓子を食べたくてタルタロスにも行っているんだよ。だから毎日冥界の入門申請をしているの」
「え? あはは! どれだけお菓子が好きなんだよ! でも、ばあちゃんのお菓子は旨いから気持ちは分かるけどな」
「あ、レアーおばあ様も毎日クロノスおじい様に会いに行っているんだよ」
「そうか。二人はどんな感じだ?」
「うーん。おじい様は時々ベットから顔を出しておばあ様を見ているかな? おばあ様は、そんなおじい様を見つめて微笑んでいるよ」
「そっか……」
「クロノスおじい様はベットから出たがらないんだけど、聖獣王が来るとそのベットに潜り込んで一緒にお昼寝するの。その時のクロノスおじい様の嬉しそうな顔を見ると幸せな気持ちになるんだよね」
「そうか。皆それぞれの場所で幸せに暮らしてるって事か」
「うん。それにしてもアルストロメリア公爵はずっと泣いていたね」
「大好きなアンジェリカがプルメリアに行ったからな。寂しいんだろ」
「スウィートちゃんのおじいさんと意気投合して、やけ酒を飲みに行くって言っていたよ?」
「ああ。そうだな。スウィートも結婚するから気持ちが分かるんだろ。っていうか……スウィートも妊娠してたよな。そういえば、なぜかヨシダのじいちゃんまでやけ酒を飲みに付いて行ってたけど」
「あはは! 絶対裸踊りをするよね」
「確実にするだろうな」
「「あはは!」」
……ん?
笑ってて平気なのか?
今頃捕まってたりして……
ぺるみも同じ事を考えてるみたいだな。
急に真顔になったぞ。
「おや? ぺるみ様? こちらでしたか」
ベリス王が大きい箱を持って歩いてきたな。
「ん? ベリス王。その箱は何? もしかしてベリアルの最新グッズ?」
ぺるみの瞳がキラキラに輝き始めた。
ヨシダのじいちゃんの事をすっかり忘れたみたいだ。
はぁ……
これは、またあれが始まるんだな。
「そうです。ぺるみ様のネーミングセンスを爆発させてください!」
「うんっ! 任せて!」
ぺるみのネーミングセンス……か。
あの変な商品名……
なぜか人間達に好評なんだよな。
確か今までつけた商品名は……
『パシャパシャピヨちゃんイチゴのビキニで南国リゾート。ビキニのヒモが取れないように気をつけて!』
『貝殻ビキニでセクシーピヨちゃん。たらいで水浴びパッシャパシャ! 真夏の視線をひとりじめっ! 今なら限定たらい付き』
だっけ?
他にも色々あったけど……
なんでこんな商品名で完売するんだ?
まぁ、それだけオレがかわいいって事だけど。




