レオンハルトの物語(28)
今回はレオンハルトが主役です。
ヒヨコ様の最新グッズ?
最近は、お着替えセットしか販売されていないはずだ。
残念ながらぬいぐるみはもう再販されないらしい。
という事は、王妃はヒヨコ様のぬいぐるみを以前から持っていた?
しかも、わたしとアンが持っているぬいぐるみと同じ物。
これは限定品で入手困難だったはずなのに……
ずっと恐ろしく思っていたが、かわいいところもあるのだな。
……って!
「……これは! 幻の!」
「そうだ! 『貝殻ビキニでセクシーピヨちゃん。たらいで水浴びパッシャパシャ! 真夏の視線をひとりじめっ! 』の『今なら限定たらい付き』だ!」
「うわあぁ! これが実物かぁ! すごいです! まさか実物を見られるなんて!」
「聖女様が悔しそうに泣きながら手渡してきてな……本当は自分のコレクションに加えたかったらしい」
「あはは! ペリドットらしいですね」
「……もっと早く、こんな風に話せていたらな」
「……はい。すごく楽しいです」
「お前の……レオンハルトの母親は素敵な人だった。クソ野郎に傷つけられたわたしを温かく包み込んでくれてな……」
「王妃……」
「もう、その名で呼ぶな。全く……まだ気づかないのか?」
「……え?」
「愛しい人が、ここで泣いているのに……」
「……? 愛しい人……?」
「レオ……良かった……目が覚めて本当に良かった……」
「……アン? え? アン!?」
身体を起こすとアンが抱きついてくる。
「やれやれ。見ていられないな。これは、すぐに子を授かりそうだ。ははは!」
「王妃!? ちょっとやめてください!」
「ははは! わたしは廃妃だ」
「え? それは……?」
「あとは『王妃』と二人で話せ。わたしと『王弟』の未来は陛下に任せたからな! ははは!」
「『王妃』……? まさか、アンの事ですか? では王弟は弟……え? わたしが王!? え? ええ!? 寝ている間に一体何が!?」
「全く……一から十まで全て話さないといけないのか? レオンハルトが気を失ってすぐにリコリス王が来てな。事情を知ると四大国の王で話し合いの場を設けた。そしてクソ野郎がしてきた事の一部は伏せる事にし、レオンハルトが王になったのだ」
「一部……? あ……」
わたし達がクソ野郎の息子ではなかった事か。
王妃のこの言い方だとアンは知らされていないようだな。
「妹を生かす為にはその方がいいだろう」
妹を生かす?
そうか、唯一クソ野郎の血を引く王族……
それを知られたら生きてはいられない。
「……はい。あ、海賊の島にいる妹と兄上はこれからどうなるのでしょうか?」
「それか……聖女様に言われたのだが……」
「……はい?」
「二人ともこのまま海賊の島で暮らす事になった」
「え? まさか……わたしに気を遣って?」
「いや、違うようだな。『王兄』は海賊の島で恋人ができたらしい」
「……ええ!?」
「笑ったらしい……」
「……? 誰が笑ったのですか?」
「王兄だ」
「……まさか! だって……兄上は……もう……」
元には戻れないと……




