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レオンハルトの物語(16)

今回はレオンハルトが主役です。

 ついにプルメリアに到着した。

 小舟に乗り誰にも気づかれずに王宮への隠し通路に入り込もうと思っていた。

 そう、誰にも気づかれずに王宮の中に入り込もうと……

 

 それなのに……


「どうしてこうなった!?」


 そうだ。

 あの時ヒヨコ様が……


「なんだ。小舟でこっそり城に行くつもりなのか? 男ならドーンだ!」


 とかなんとか言って……

 船ごと王宮に『空間移動? 』をしたのだ。


 あぁ……

 粉塵でよく見えないが壁も床もメチャクチャだ。

 しかも、ここは父上が暮らしている王宮……

 なんて事を……


「あれ? 船ごと空間移動したのか? 人間だけ移動しようとしたのに変だな?」


 ヒヨコ様……

 加減を間違えたのか?


「まぁまぁ。いいじゃねぇか。(オレがやったんだし)」


 ……?

 今、ヨシダさんが小声で何か言ったような?


「あぁ……一体どうしたら……とりあえずこのまま父上を助けに……」


 いや、まさか……

 まさかとは思うが船の下敷きになっていないよな?


「ふふふ……ふはははは! このまま王妃を討ちに行くぞ!」


 ……!?

 おじい様!?

 まずい。

 あのままマストに縛りつけておけばよかった。

 そういえば、おばあ様は?

 恐ろしいほど静かだが……

 

「……って!? おばあ様!? どうして大砲を撃つ準備を!?」

 

 おばあ様のあの顔……

 魔族がいる幸せの島に大砲を撃ち込んだ時と同じ顔だ。

 これはまずい!

 一体どこを狙って撃つつもりなのだ!?


「殿下……これって、まずいんじゃ」

「このままだと最小限の被害で済ませる計画が……」


 マクスとリュートの言う通りだ。

 二人はおばあ様が幸せの島に大砲を撃ち込む姿を見ていたからな……

 おばあ様は確実に撃つ!


「二人はおばあ様を止めてくれ! わたしはおじい様を止める! って、おじい様がいない!?」


 もう王妃を討ちに行ったのか!?

 ああっ!

 計画が全て台無しだ!


「こちらはお任せください!」

「殿下は早く!」


「マクス、リュート! あとは任せた!」


 あぁ……

 なんとか船から降りて、おじい様を捜しているが……

 どこにもいない。

 高齢なのにこんなに速く動けるのか?

 粉塵が酷くてよく見えないな。

 まさかもう王妃の手先に捕まっていたりして……


「殿下!」


 この声は……

 マクスの父親?

 粉塵でよく見えないが……

 なぜここに?

 王妃に疎まれているから領地にいるはずなのに。

 まさか、王妃の手先になってわたしを捕らえに来たのか!?


「父上! 殿下はこちらです!」


 マクラメ!?

 わたしに付いてきていたのか?

 まるで気配を感じなかった。

 

 疑いたくはないが……

 二人はわたしを捕らえるよう王妃に命令されている……なんて事はないよな?

 だとしたら、これはまずい。

 この二人はあり得ないくらい強いのだ。

 戦場の死神と呼ばれる男爵とその娘……

 やり合って勝てるはずがない。


 あぁ……

 アン……

 わたしは生きてアンを迎えに行けないかもしれない。

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