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レオンハルトの物語(15)

今回はレオンハルトが主役です。

「何が違うんだ?」


 ヨシダさんが尋ねてきたが……


「リコリス王国は大国で……ヘリオスは王になる為に生まれてきたような立派な男で……」


「ははは! オレから見ればレオンハルトだってそう見えるぞ?」


「……え? わたしが……ですか?」


「そうだ。妹と兄ちゃんを守る為に王太子になるって決めたんだろ?」


「……それだけではないのですが……それも理由のひとつです」


「他の理由も知りてぇなぁ。教えてくれるか?」


 ヨシダさんの表情が穏やかになった?


「あぁ……あの。民が心から笑える国にしたいと……ヨシダさんはペリドットの知り合いでしたね?」


「んん? そうだなぁ。ぺるぺるは、かわいい孫みてぇなもんだ」


「ペリドットは、いつも言っていました。『人間と魔族が仲良く暮らせる世界にしたい。人間の身分制度をなくして皆が平等に穏やかに暮らせるようになって欲しい』と」


「ぺるぺるらしい考えだなぁ」


「ペリドットを知らない人が聞いたらきっとこう言うでしょう。『あり得ない夢物語だ』と。ですがペリドットを知る人が聞いたらこう言うはずです。『絶対にその未来が訪れる』と」


「そうか、そうか」


「百年後……千年後……身分制度のなくなった人達と魔族が仲良く暮らすようになっていて欲しい……ペリドットの瞳が喜びに満ち溢れるように」


「レオンハルトは、ぺるぺるの夢を叶える手伝いをしてくれるんか?」


「……はい。ヘリオスとも何度もその話をしてきました。ヘリオスは他の四大国の王ともその未来について話し合っているそうです。同じ時代を生きる四大国の王が同じ方を向いているなんてこれから先、もうないかもしれません。だからこそ、皆で協力し合って前進させたい。わたし達は、そう思っています」


「立派だなぁ。ぺるぺるが聞いたら喜ぶだろうなぁ」


「ヨシダさん……」


「んん? なんだ?」


「ペリドットをよろしくお願いします」


「レオンハルト……」


「わたし達は、ペリドットのように長くは生きられません。ペリドットは、たくさんの親しい人達の死を見る事になるでしょう。その時に支えて欲しいのです」


「……ああ。任せろ。レオンハルトは本当に立派だなぁ」


 ……立派?

 立派……か。

 わたしもヘリオスのように立派な王になれるのだろうか?

 いや、違う。

 なれるように努力するのだ!

 

「ヨシダさん……やってみようと思います」


「んん? 何をだ?」


「父上に相談して……生前譲位してもらおうと思います」


「レオンハルト……」


「父上が亡くなってからでは、わたしが王でいられる時間は短いはずです。だったら始まりを早くしなければ」


「そうか、そうか」


「ヘリオスと四大国の王達と協力してペリドットの理想の未来に近づけるように頑張ります」


「応援してるからなぁ。でも、プルメリアに着いたらもう一度何が真実かをよぉく考えるんだぞ」


 何が真実か……?

 冷静に行動しろという事か?


「はい!」


 さすがアンが好きになった人だ。

 ヨシダさんはすごいな。

 わたしもいつかヨシダさんのような立派な大人になりたい。

 でも……

 裸踊りは遠慮したいな。

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