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レオンハルトの物語(10)

今回はレオンハルトが主役です。

「おじい様……とりあえず鼻を拭いてください。それから、プルメリアに着いても船から降りないでください。おじい様の身に何かあったらと不安で……」


 絶対に船で待っていてもらわないと……


「それはできない。プルメリア王妃は娘の……レオンハルトの母親の命を奪った奴だ。もちろんわたしが手を下す事はないがその最後は見届けなければ」


 おじい様の気持ちも分かるが……


「王妃は危険です。海賊の魔族に見てきてもらったのですが、お父様を幽閉してプルメリアを意のままに……兵士達も王妃の手先に成り下がっているはずです」


「……レオンハルトはその兵士達をどうするつもりだ? 命を奪うのか?」


「……いえ。今回の件で命を失うのは王妃とその一族と……弟……だけです」


「……兵士達を助けるのか? 今からプルメリアに行けばその兵士達はレオンハルトに剣を向けるぞ?」


「殺してしまうのは簡単です。ですが、そうすればプルメリアの戦力を失ってしまうのも事実……」


「難しい問題だな……」


「もし、おじい様が同じ立場だったら……どうしましたか?」


「……そうだな。難しいが。……なぁ、レオンハルト?」


「はい?」


「覚えているか? ペリドットが爆弾を見つける為に一人でアカデミーに残った事を」


「はい。覚えています。心配したおじい様もアカデミーに入り込んで……」


「あの時、爆弾を仕掛けた犯人はリコリス王国の露店商市場の守り神として人々の安全を守っている」


「そうでしたね。ペリドットがそうなるように尽力したと聞きました」


「あの犯人は酷い奴に雇われてそうするしかなかった。他にも色々事情があったらしいが……」


「確か父親が怪我をして寝込んでいて、仕方なく悪い事をしていたとか……」


「本当なら死罪だ……だが生きて罪を償う方法もあるという事をペリドットが教えてくれた」


「おじい様……プルメリアの兵士も王妃に悪さをさせられている被害者という事ですね」


「そうだな……レオンハルトがやる事は兵士が剣を抜く前に王妃だけを討つ……それだけだ」


「おじい様……?」


 王妃だけを討つ……?

 弟は……?


「知っているか? 『リコリス王国に追放されたアルストロメリア公爵』の兄……つまりアンジェリカの祖父の兄がどんな思いで弟を追放したかを」


「それは……大切な弟である公爵を生かす為に仕方なくそうしたと聞きました。その想いを最近になって知った公爵は涙したと……」


「そうだ。あの兄弟は血の繋がらない王妃に毒を盛られたりした。その苦しい生活の中、強い絆で結ばれていったらしい」


「どこの国にも王妃と側室の争いがあるのですね」


「嫌な話だ。実子かわいさに他の子を平気で傷つけるような奴が王妃……国母だなんてな」


「おじい様……わたしは……今から弟を……」


 まだ幼い弟を討たなければならないなんて……

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