レオンハルトの物語(8)
今回はレオンハルトが主役です。
「ははは。おじい様はお元気ですか?」
最近は会っていなかったな。
「……え? そこにいるでしょう?」
おばあ様が指差しているが……
「……? おじい様が船にいるのですか?」
いつもだったら嬉しそうに話しかけてくるのに……って!?
「うわあぁぁぁん! レオンハルトォォ! 助けてぇぇ!」
おじい様がマストに縛られている!?
ん?
マストの上にある見張り台で海賊帽が動いている。
いや……
違う。
あれは……
「ヒヨコ様!?」
どうしてヒヨコ様がこの船に!?
もう人とは関わらないと言っていたのに。
じゃあ……
ペリドットもいるのか?
「あ! レオンハルト! すごいぞ! 遠くまでよく見えるぞ!」
ヒヨコ様が嬉しそうに望遠鏡を覗いている。
でもペリドットは、いないようだ。
「ヒヨコ様、どうしてここに?」
「ん? ヨシダのじいちゃんとゴンザレスとスーたんもいるぞ」
海賊風の服を着たヒヨコ様が見張り台から飛んできた。
アンのヒヨコ様のぬいぐるみにも同じ服を着させてあげたいな……
って、ヨシダさん達もいるのか?
「あ、本当だ。あれ? ヨシダさんは船酔いかな?」
甲板で横になっているが……
ゴンザレス様とスーたんは海賊風の服を着て楽しそうに海を眺めている。
「船酔い? ああ、違う違う。裸踊りをしないようにぺるみに縛られたんだ」
縛られたって……
あ、本当だ。
縄でグルグル巻きにされている。
しかも猿ぐつわまで……
「じゃあ、ペリドットも来ているの?」
「いや、ぺるみは仕事をしてるんだ」
「仕事を?」
「うん。午前は使者の相手で午後はタダ働きさせられてるんだ。最近の口癖は『クソ野郎どもが』だ!」
「クソ……え? あのペリドットがそんな事を?」
「(生意気な使者を殺さないようにするのが)かなり大変らしいぞ。でも、毎日(殺さないようにするのを我慢して)頑張ってるから仕方なく吸わせてやってるんだ」
「……そうなんだね。皆、新しい場所で頑張っているのか……」
「レオンハルトもだろ? あ、そうだ。ぺるみからの伝言があったんだ。えっと……プルメリアのクソ王妃を恐怖と絶望の中で……なんだっけ? んっと指の関節を一本ずつ……あれ? なんだっけ? 目玉を……うーん? お菓子を食べながら聞いてたから忘れたな」
今の言葉だけでも恐ろしい話なのは分かったよ。
「ペリドットにありがとうと伝えておいて」
「分かった!」
「でも、どうしてヒヨコ様達はこの船に?」
「ん? それはヨシダのじいちゃんがプルメリア王妃に話があるからだぞ。オレとゴンザレスとスーたんは付いてきただけだ」
「……ヨシダさんが、王妃に話を?」
王妃を相手に話をするなんて危険過ぎる。




