レオンハルトの物語(7)
今回はレオンハルトが主役です。
「女神様……?」
女神様とは、女性の神様という事か?
「レオンハルトは神様の存在を信じているかしら?」
おばあ様?
神様……か。
信仰心はあるが実在しているかと言われると微妙だな。
でも……
「……ルゥにペリドットの身体を授けたのが神様でしたね。ヒヨコ様とゴンザレス様は聖獣様だし……そう考えると実在している……うーん……?」
「ふふ。最近会ったのよ」
「……え?」
会った?
まさか……
神様に!?
「殿下と二人でね」
「公爵も!?」
「殿下は二度目だったようね。あれはまだ、わたくしと殿下がアルストロメリア王国にいた頃……牢に囚われていたココちゃんのおばあ様……と言っても若い頃よ? ココちゃんのおばあ様を助けて欲しいと女神様から頼まれたらしいの」
「公爵がココのおばあ様を助けたのは女神様のお告げがあったから……そうだったのですか」
「それから、殿下の頭の中は美しい女神様の事でいっぱいになってね。アルストロメリア王国からリコリス王国に来て結婚して子ができて……でも男の子しか産まれなくてね。孫で初めて産まれた女の子に『女神様』と名づけようとしたら周りから止められたらしくて。それで『アンジェリカ』という名になったらしいわ」
「……そうだったのですか。あの……女神様には翼があったり頭の上に輪が浮いていたりするのですか?」
「え? ふふ。翼はあったけれど輪は無かったわね。美しくて穏やかで素敵なお方だったわ」
「一度お会いしてみたいなぁ」
「ふふ。そうねぇ。案外近くにいたりしてね……」
「……え? 近くに?」
「あぁ……いえ。ふふ。だって、レオンハルトの女神様はアンジェリカちゃんでしょう?」
「……!? おばあ様!? からかわないでください!」
顔が熱い……
自分では見えないけど真っ赤になっているのだろうな。
「そういえば……ふふ。聞いたかしら」
「……? 何をですか?」
「洗濯師が世界中のヒヨコ様のぬいぐるみを綺麗にしているらしいわよ」
「洗濯師……? へぇ。知りませんでした。でも、どうしてそんなに嬉しそうにしているのですか?」
「だって……ねぇ。ふふ。マグノリア王から手紙が届いたの」
「マグノリア王から?」
「ええ。あぁ……そういえば王太子殿下に譲位する事になったらしいわ」
「……!? そうなのですか!? 大国で生前譲位なんて珍しいですね」
「そうねぇ。家のバカは泣きながら生前譲位していたけど……」
「バカ……? シャムロックのおじい様ですね……」
「ふふ。レオンハルトは『おじいちゃま』と呼ばないの?」
「さすがに恥ずかしいですよ」
「あのバカ……ペリドットちゃんに『おじいちゃま』と呼ばれて鼻の下を伸ばしきっていたのよ?」
そういえばペリドットは『おじいちゃま』と呼んでいたな。




