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レオンハルトの物語(3)

今回はレオンハルトが主役です。

「そうだね。学生が平等なアカデミー……そして、ヘリオスが願う身分制度のない世界。少しずつ世界が変わり始めているようだ」


 ペリドットが現れてから世界が変わり始めているのを感じる。


「わたし達は時代が変わる瞬間を生きているのね」


 アンも同じ考えなのか。


「今すぐには身分制度はなくならない。でも……その……」


 こんな事を言ったら嫌われるかな?

 でも……

 

「レオ……?」


 アンが心配そうにわたしを見つめている…… 

 勇気を出せ!


「わたし達の……孫や、ひ孫の世代になれば今とはまるで違う世界になっているかもしれないね」


 あぁ……

 言ってしまった……


「……! 孫……」


 アンの頬が赤くなっている。

 正式に婚約もしていないのに気が早かったか……

 あぁ……

 わたしが言い出した事なのに恥ずかしくなってきた。


「えっと……すまない。忘れて欲しい……」


「……レオ。わたしも……」


「……え?」


 ……!?

 アンがわたしの頬に口づけをした!?


「……アン!?」


「絶対にわたしを迎えに来て……」


 すごく悲しそうな表情をしている……


「……アン」


「わたしの代わりにヒヨコ様のぬいぐるみを連れていって?」


 アンがヒヨコ様のぬいぐるみを渡してきたが……


「……いいの? 宝物なのに。あ、この服は……」


「最近発売されたばかりの『凛々しいピヨちゃん。鎧を着て世界を平和に導くよ。でもかわいいおててにペロペロキャンディを持っているね。皆で武器を捨てておいしいお菓子を食べようよ』のお着替えセットを買ったの」


「すごいね。『凛々しいピヨちゃん。鎧を着て世界を平和に導くよ。でもかわいいおててにペロペロキャンディを持っているね。皆で武器を捨てておいしいお菓子を食べようよ』のお着替えセットは、なかなか手に入らないのに」


「プルメリアに行くレオの為にどうしても手に入れたくて朝から並んだの」


「わたしの為に……ありがとう。実は……わたしもヒヨコ様のぬいぐるみをアンに持っていて欲しくて……」


「え? あ……この服は……」


「『パシャパシャピヨちゃんイチゴのビキニで南国リゾート。ビキニのヒモが取れないように気をつけて! 』だよ? 前にアンがかわいいと言っていたから」


「でも、もう完売したって……」


「知り合いの商人に譲ってもらえてね。わたしが戻るまでヒヨコ様のぬいぐるみと待っていて……」


「……待っているわ。ずっとずっと待っているわ」


 涙を我慢しながら微笑むアンの表情に胸が痛くなる。

 

「ヒヨコ様が持っているペロペロキャンディは鉄でできているの?」


「ええ。本物のキャンディでは溶けてしまうから……」


「『武器を捨てておいしいお菓子を食べようよ』か。ヒヨコ様ならそう言うだろうね」


「ヒヨコ様は、この世界を大切にして欲しいと言っていたから……」


「それなのにわたしは……今から酷い事をしに行くのか。心が痛むよ。でも……王妃を討たなければプルメリアに待つのは絶望の未来だ」


 今プルメリアを救えるのはわたしだけだ。

 絶対に失敗は許されない……

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