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スウィートちゃんの物語(9)

今回はスウィートちゃんが主役です。

「……なれるかしら? ……わたし、素敵な王妃になれるかしら?」


 わたしも、キラキラ輝くペリドットみたいになれるの?


「なれるさ。スウィートちゃん……今の心の痛みを忘れるな。大切な誰かを心から愛する気持ちを忘れるな。王妃になれば時には残酷な事を決断しねぇといけなくなる時もあるはずだ。そんな時は、じいちゃんの事を思い出せ。何があろうと味方になってくれたじいちゃんをなぁ。スウィートちゃんはひとりぼっちじゃねぇんだ。じいちゃんに恥じねぇ立派な王妃になるんだ」


 ヨシダさんの言葉に身体が小さく震え始めるのを感じる。

 怖い……

 わたし……

 大国の王妃を軽く考えていたのかしら。

 大好きな陛下を誰にも取られたくないなんて、そんな気持ちでなれる地位ではないのね。


「……わたし……耐えられるのかしら……王妃の重圧に……」


 身体の震えが止まらない……

 急に王妃になるのが怖くなってきたわ。


「だんだん慣れていけばいいんだ。初めは、とやかく言う奴らもいるだろうけどなぁ。そんな奴らは蹴散らしてやれ」


「ペリドットがやってきたみたいに……強くて悪い奴らには立ち向かって、弱くて守るべき存在には愛を与える……?」


「なかなか難しいだろうけどなぁ。ゆっくりゆっくりスウィートちゃんらしい王妃になればいいんだ。初めは誰かを手本にしながら、でも慣れてきたら自分らしい王妃になっていくんだ」


「わたしらしい王妃……」


 それって、どんな王妃なのかしら……


「今のスウィートちゃんにならできるさ」


 わたしなら……できる?

 ……どうしてかしら。

 ヨシダさんの言葉が胸に熱く響いてくるわ。


「……ありがとう」


 ペリドットが言っていたわよね。

『ありがとう』と『ごめんなさい』を言えると素敵だって。


「ははは! スウィートちゃんはリコリスにいた頃と違って立派になったなぁ。偉いぞ!」


「……リコリス王国にいた時の話は恥ずかしいわ」


「その過去があったから今のスウィートちゃんができあがったんだ。今のこの瞬間も素敵な王妃になる為に必要な時間って事だなぁ。ははは!」


 ヨシダさんは不思議な人ね。

 でも嫌いじゃないわ。

 こんな人がずっと近くにいたからペリドットも素敵な女性になれたのね。

 わたしも……

 いつか、誰かから『こんな風になりたい』と言われるような王妃になれるかしら。

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